今週面会したときの母は、結構調子が良かった。
手をなでながら、いろいろと話しかけていると、しっかりと目が合いました。
母がじっと私を見てくれるだけでうれしくて泣きそうになってしまいました。
母は、元々寂しがりで子離れのできない心の弱い人でした。
そんな母に対し、私はあまり甘えることをしませんでした。
実家のすぐ近くに住んでいたので、子供を連れて遊びに行くことはありましたが、私が実家に泊まることはなく、(子どもたちは泊まっていました)なんとなく壁を作っていた気がします。
今となっては、それが悔やまれます。
母と同居していた弟は、あまり家にいなかったので母はいつも寂しかったはずです。
元気なころは、寂しいなんて言葉には出しませんが、週末ごとに「どこか食べに行こう」とか「遊びにおいで」とか言うようになったころから、少し様子がおかしくなっていたと、振り返るとそう思います。
その時に何か対策をしていれば・・・。
でも過去には戻れません。だから今できることを精いっぱいしようと思います。
親の認知症を疑った時から介護は始まっているのかも
私のように後悔しないためにも、親の様子を見て(もしかして認知症?)と疑った時からできることを私の経験をもとにお話しします。
もちろん、それらがベストの対応ではありません。
でも、ベターな対応として、あなたの参考にしていただければうれしいです。
今回は、まだ認知症だとわかる前、なんとなく疑いながら、
「まさかね」と否定していたころにさかのぼります。
母が泣きながら電話を!「私、死にたい」
午前中の仕事が終わり、次の日の仕込みをしていた夕方ごろ、母から電話がありました。
母の声は、明らかに動揺して泣いている様子です。
「もう私、死ぬ」と言って泣いていました。
「○○が来て、怒って…怖い…あんな人とは思わなかった…」
近くに住んでいる母の妹夫婦と何かあったらしく、ほとんどパニック状態でした。
「すぐに行くから、待ってて」
急いで実家に行くと、玄関のところで座り込んで泣いています。
「あんなこと言われて、もう私死にたい」
まだ興奮状態なので、とりあえず家に連れて帰りました。
色々聞いてみると、亡くなった親戚の遺品整理か何かで母のやり方が悪かったのか、妹夫婦がひどい怒り方をしたようでした。
念のため妹(私には叔母ですが)に電話すると
「そんなきついことは言ってない、あまりにも勝手なことをしたから、ちょっと怒っただけ」
母の様子は、ちょっと怒られただけではありません。
でも、叔母は自分が一番正しいと思いがちで、言葉もきつい人なので、母が動揺するほどの酷い態度を見せたのだろうと思います。
母は、しばらく泣いていましたが、紅茶を飲んで、いろいろ話をしている間に落ち着いてきました。
その日は、夕食を食べてもらい、同居していた弟にも連絡をして、夜に実家へ送っていきました。弟は、叔母夫婦にとてもかわいがってもらっているので、母の話を信用しませんでしたが、母には優しくしてあげるように言っておきました。
次の日に様子を見に行くと、もういつもの母でした。
認知症のきっかけを作ってしまった
あの日をきっかけに、何でも自分で考えて、自分で行動を起こしていた母が、叔母や弟の様子を気にするようになり、一人で決めることができなくなりました。
人の顔色を窺うようになり、自分自身のことも決められなくなっていきました。
それからしばらくして、時々母の眼が虚ろになることに気づいたのですが、
認知症を疑うことは、怖くてできませんでした。
今の介護施設でこの話をちらっと聞いてもらったのですが、
と聞き、今さらながら私がもう少しフォローできなかったかと後悔しました。
実は、義母も認知症で施設に入っています。
義母は、脳梗塞で倒れた義父を3年ほど介護して亡くしました。
その1年後、15年くらい飼っていた愛犬を亡くしました。
夫が義母に新しい犬をプレゼントしようとしたのですが、今はいらないと言われ、そのままになっていました。
愛犬が亡くなって、半年後に熱中症で自宅で転倒し、入院。
認知症の症状があるという事で、退院後は介護施設に入居しました。
義母は、母と違い、精神的にもしっかりした人だったのですが、愛犬と義父の死が認知症発症のきっかけになっていたのだと思います。
精神的にダメージを受けたときはフォローを
どんなことでも、本人がショックを受けるような大きな出来事があると、それをきっかけに認知症を発症することもあるのです。
出来事自体は避けられなくても、そのことで受けるダメージを甘く見ないで、できる限りフォローしてあげてください。
結果的に認知症になったとしても、何もしていないよりは何かしてあげることで、少しでもいい方向に向けるかもしれません。
「あの時に無理にでも犬を飼ってあげればよかった」
夫は今でも後悔しています。
認知症を知ることは、介護の一歩です。
できることは、とりあえずしてみてください。
でも頑張りすぎないで。