京都市北区にある等持院は、金閣寺や龍安寺から徒歩10~15分ほどの場所にあるお寺です。
金閣寺から龍安寺、そして仁和寺へと続く「きぬかけの路」からは少しそれているためか、他の寺院に比べると参拝者が少なくて、ゆっくりとお参りできる素敵な場所。
今回は、等持院の魅力をたっぷりお届けします!
等持院について
等持院が創建されたのは、室町時代の暦応4年(1341)のこと。
足利尊氏が夢窓国師を開山として現在の地に建立しました。
室町幕府の地に等持寺というお寺があり、はじめは北等持寺と呼ばれていましたが、尊氏の死後に彼の法名を取って「等持院」と名付けられたそうです。
以後足利将軍家の菩提寺として今に続きます。
等持院の見どころ
住宅街を歩いていると、突然「等持院」という大きな道しるべが。
その奥には総門が見えますが、寺院らしい建物は見えません。
実は等持院の建物は総門からずっと奥に進んだところにあるのです。
牧野省三の像
総門をくぐって奥へ進むと、右手に墓地、その前には牧野省三の像が立っています。
今の等持院がある場所は、住宅街や立命館大学に囲まれたとても静かなところ。
でも大正から昭和の初めには映画撮影所があり、活気あふれる場所だったそうです。
撮影所は「日本映画の父」といわれた牧野省三が設立したもので、今よりも広い敷地があった等持院をロケ地として多くの映画が撮影されたそうです。
後で紹介する方丈(本堂)も撮影場所として利用されていたのですが、その際ずいぶんと方丈の建物や襖絵などが破損したそうです。
破損した襖絵は狩野興以(かのうこうい)が描いたもので、現在では修復されて京都市指定の有形文化財に登録されています。
大切な文化財を雑に扱うなんて今ではとても想像がつかないことですが、当時はそれだけ映画界の勢いがあったのかもしれませんね。
方丈
更に参道を進むと、立命館大学の学舎を後ろに従えた等持院の庫裏が見えてきます。
山門をくぐると可愛い椿と鬼瓦が出迎えてくれました。
達磨図
方丈内に入って拝観ルートの最初にど~んと構えているのは、大きな衝立に描かれた達磨図です。
これは禅宗の祖である達磨大師を天龍寺派の元管長・関牧翁が描いたもので、どこかユーモラスでありながら、圧倒されるようなオーラも感じます。
方丈は、元和2年(1616)に福島正則が建立した妙心寺塔頭・回福院の建物です。
南側に広縁がありその前には枯山水庭園があります。
歩くたびに「キュッキュッ」という音が響く鴬張りの広縁には、蝶や花の埋め木がはめ込まれています。
埋め木とは床材などの傷んだ部分を切り取って別の木材をはめ込む修理方法のこと。
普通なら周りの木材に合わせてならすのですが、このようにあえて模様として浮かび上がらせているところに風情があります。
霊光殿
方丈の奥にあるのは、足利十五代将軍(五代と十四代を除く)の木像が納めてある霊光殿です。
堂内の両側にずらっと並ぶ将軍たちは壮観!
尊氏からじっくりとお顔を拝見していると、それぞれに特徴があります。
義満はとてもエネルギッシュ、義政は神経質そうな顔、そして尊氏は思いのほか可愛らしいお顔でした!
季節の彩りを感じる庭園
方丈をぐるっと回ってちょうど裏側にあるのが、夢窓礎石が作庭したと伝わる池泉回遊式庭園です。
芙蓉の花の形をした「芙蓉池」と「心字池」を中心とした庭園で、尊氏の墓とされる宝篋印塔(ほうきょういんとう)や茶室「清漣亭(せいれんてい)」があります。
こちらの庭園は歩いて回ることも可能。
私が訪れたこの時は、サザンカや椿が咲いていましたが、2月の中旬以降には落ち椿が庭園を美しく彩ってくれます。
春が近づくと木瓜(ぼけ)の花や馬酔木(あせび)に木蓮、そして桜が咲き始めます。
花海棠が咲き始めました。桜もきれいに咲いています🌸(2022年3月27日撮影)#京都 #等持院 #花海棠 #桜 #花蘇芳 #木瓜 #庭園 #Kyoto pic.twitter.com/2dMZZYN7mL
— 臨済宗 天龍寺派 等持院 (@toujiin_kyoto) March 28, 2023
初夏にはミツバツツジやサツキに新緑。
夏が来る頃には桔梗に半夏生、百日紅(さるすべり)などなど。
池の周りの菖蒲と半夏生がとても涼しげです。(2024年6月15日撮影)#京都 #等持院 #菖蒲 #半夏生 #庭園 #Kyoto pic.twitter.com/WV3Gy76MhA
— 臨済宗 天龍寺派 等持院 (@toujiin_kyoto) June 16, 2024
さまざまな表情を見せてくれる庭園は、秋になると紅葉の見事な景色に大変身!
冬の雪景色も見逃せません。
庭園に面している書院では、抹茶を飲みながら景色を堪能することもできますよ。(お菓子付き600円)
ゆっくりと時間をかけて散策してみたい素敵な等持院。
金閣寺周辺を観光される際には、ぜひお立ち寄りください。
等持院の基本情報
- 住所 京都市北区等持院北町63番地
- 電話 075-461-5786
- 拝観時間 9:00~16:30(16:00受付終了)
- 拝観料 大人600円/小人300円
アクセス
- 最寄り駅 京福北野線「等持院・立命館大学衣川キャンパス前」徒歩約10分
- バス 「等持院南町」徒歩約8分/「立命館大学前」徒歩約10分
バス・鉄道乗り換え案内 https://www.arukumachikyoto.jp/
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