京都東山今熊野にある新熊野神社(いまくまのじんじゃ)は、熊野神社・熊野若王子神社と並び京都三熊野のひとつです。
今回は、巨大な大樟(くすのき)がパワースポットとしても有名な新熊野神社を紹介しましょう。
ユニークな御朱印や霊験あらたかなご利益など見どころいっぱいですよ。
どうぞお楽しみに!
新熊野神社の由緒
今から約900年もの昔の平安時代のことです。
和歌山紀伊半島にある熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社を参拝する熊野詣(くまのもうで)が流行しました。
後白河上皇も頻繁に熊野詣をされましたが、京の都から紀伊半島の熊野へ行くのは、簡単なことではありません。
交通手段は輿か牛車か馬、あとはおのれの足のみです。
そこでもっと手軽に熊野詣ができないか?
ということで、後白河上皇は熊野の神を京へ勧請するように当時の権力者平清盛に命じました。
清盛は、熊野の神を勧請するだけでなく、熊野の木々を使って熊野の新宮・別宮として造営されました。
ちなみに新熊野と書いて「いまくまの」と読むのは、紀州の古い熊野に対して、京の新しい(今の)熊野という都人の認識に基づいていると言われています。
ご祭神
新熊野神社は神仏習合の神社ですので、ご祭神にはそれぞれ本地仏のお姿があります。
本地仏とは、神様の仏様としての姿を言います。
神は姿形がありません。従って、神を描こうとすれば仏で代替するしかないのです。仏を拝むことは神を拝むことであり、神を拝むことは仏を拝むことでもある。日本人にこの信仰があるから、仏で以って神の世界を描くことができるのです。 新熊野神社ホームページより
例えば、新熊野神社本殿のご祭神は、熊野牟須美大神(くまのむすびのおおかみ)で日本神話ではイザナミ命と称しています。
そして本地仏は千手観音。
ちょっとややこしいですが、これは日本独特の信仰の形です。
趣があると思えば、結構面白いですよ。
境内には、本殿以外にも本地仏を持つ神様がそれぞれの社にお祀りされています。
天照大神=十一面観音上之社
速玉之男大神(はやたまのをのおおかみ:イザナギ命)=薬師如来
熊野家津御子大神(くまのけつみこのおおかみスサノオ命)=阿弥陀如来中之社
天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)=地蔵菩薩
瓊々杵尊(ににぎのみこと)=龍樹菩薩
彦穂々出見尊(ひこほほでみのみこと)=如意輪観音
鵜茅草葺不合尊(うかやふきあえずのみこと)=聖観音下之社
稚産霊命(わくむすびのみこと)穀物・養蚕の神=釈迦如来
軻遇突智命(かぐつちのみこと)火の神=文殊菩薩・普賢菩薩
埴山姫命(はにやまひめのみこと)土の神=毘沙門天
彌都波能売命(みづはめのみこと)水の神=不動明王樟社
樟大権現=樟龍弁財天
境内の社には、すべて説明看板がありますので、確認してみてくださいね。
見どころいろいろ
まずは、境内の中央にある本殿を参拝しましょう。
熊野神社のシンボル 八咫烏
本殿の屋根の左右には八咫烏がとまっています。
よく見るとそれぞれの八咫烏の姿が少し違います。
向かって左の八咫烏はくちばしを閉じていて、右は開けています。
なんと”阿吽””の八咫烏なんです。
これ、知っているとちょっと自慢したくなるやつです。
本日お気に入り。新熊野神社の八咫烏。 pic.twitter.com/PJukHXLUTQ
— h.yamazaki (@YamazakiHideshi) January 3, 2017
八咫烏は「太陽の使者」と呼ばれ、勝利に導く神様です。
日本サッカー協会のシンボルとしても有名です。
新熊野神社には、絵馬やお守りなど、八咫烏があちこちにいますよ。
圧倒的な存在感 大樟
鳥居をくぐって左側にあるのは、巨大な樟。
新熊野神社の後白河法皇お手植えの大楠。 pic.twitter.com/c4oY77LRt5
— ヲトーサン (@NQTFO9FBHnugIj3) May 13, 2021
後白河上皇が植えたと伝わっている樹齢約900年の大樟は、京都市の天然記念物にも指定されています。
この樟は、今でも成長し続けているということで、健康長寿や病気退散の御利益があるとされています。
特にお腹の神様として知られています。
後白河上皇が樟を植えた後、持病のお腹の病が良くなったことが由来です
拝殿の脇にある大樟の一部である「さすり木」をさすって、自分の悪いところをさするとよくなると言われています。
ご神木 椥(なぎ)
本殿の左右にあるのは、ご神木の椥です。
椥は、悪いものや災いをなぎ払うと言われ、昔の人々は熊野詣の際に椥の葉をお守り代わりに持っていたそうです。
また、椥の葉は引っ張っても切れにくいことから、縁結びや夫婦円満の御利益があると言われています。
境内には、今上天皇が二十歳におなりのときに植えられた椥の木もありますよ
能楽発祥の地
室町時代のある時、能楽の祖観阿弥・世阿弥の父子は、新熊野神社で猿楽を披露しました。
これを見ていたのが室町幕府3代将軍の足利義満です。
義満は父子の猿楽にとても感動し、二人に観阿弥・世阿弥を名乗らせます。
このことから新熊野神社は「能楽大成・機縁の地」と言われています。
京の熊野古道
境内の北には、和歌山の熊野古道を再現した京都熊野古道があります。
木々が生い茂る京都熊野古道にはさまざまな神様を表したカラフルな彫刻が点在しています。
一つ一つをじっくりと眺めながら、遠く熊野古道に思いを馳せてみてもいいですね。
新熊野神社の御朱印
最後は御朱印を紹介します。
御朱印は全部で4種類あります。
日付以外は、スタンプになっていて、神社名の文字が烏文字(からすもじ)になっています。
八咫烏もちょっと可愛いめ!
新熊野神社で社紋入りの御朱印と火除けの御神烏様をいただきました #烏物 pic.twitter.com/HOgCJsYzrt
— 稲穂@低浮上 (@bubobubowl) August 7, 2016
新熊野神社 基本情報
拝観自由
拝観時間 9:00~17:00
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