梅の花が満開を迎え、そろそろ桜の開花のニュースが聞こえる頃、春分の日を迎えます。
「春だぁ」
優しい春の陽を受けながら、思いっきり深呼吸をしたくなる(あ、花粉が‼)。
そんな春の始まりが、春分なんです。
春分の期間と気候
春分の日は、国立天文台によって、1年前に決められるため、毎年日にちが変わります。
たいていは、3月20日か21日になることが多いですね。
昼と夜の長さが同じになる日という春分の日は、古代の人にとってとても不思議な日で、生気に満ちた活気のある日だと考えられていたようです。
明治時代までは、「春季皇霊祭」として宮中で祖先を祀る日となっていたことから、1948年に「自然をたたえ、生物を慈しむ日」として国民の休日に制定されています。
ちなみに、二十四節気の中で祝日に制定されているのは春分と秋分だけです。
春分の日から4月4日ごろまでが二十四節気での春分の期間とされます。
七十二候
初候 雀始巣 すずめはじめてすくう
雀が、枯れ草などを集めて巣を作り始める頃。
実は、雀の巣作りの時期は2月から9月で、冬以外は巣作りをするんです。
おそらく冬が終わり、初めての巣作りだということで、七十二候に取り入れられたのだと考えられます。
「雀は見たことあるけど、巣は見たことないなあ」という方が多いのではないでしょうか。
警戒心がすごく強い雀は、人やほかの鳥に見つかりにくいところに巣を作るのです。
例えば、屋根の隙間や瓦の下、橋げたの下、電柱などなど。
最近は、雀自体も見かけることが少なくなってきたというニュースを聞きます。
原因は、巣を作れるような場所が減ったことや、田畑の減少、虫が減ってきたことなどが考えられるそうです。
このまま減り続けると絶滅危惧種になるかもしれないという環境省の発表もあります。
あの可愛い雀の姿が見られなくなるのは寂しいことです。
便利な生活もいいですが、もっと自然を身近に作ることも大切なのかもしれません。
次候 桜始開 さくらはじめてひらく
桜が初めて花を開く頃。
多くの人が、待ちに待った桜の季節がスタートするウキウキ気分になる時期です。
京都に住んでいると、今年はどこの桜を見ようかとうれしい悩みが毎年恒例のことになります。
穴場を狙うか、定番を行くか…。
年度末も控えているのに、すご~く忙しくなってしまいます。
末候 雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす
春雷と呼ばれる春の雷が鳴り始める頃。
春の雷は、夏とは違って、1,2回なって終わるような短いものが多く、初雷とか、虫出しの雷(冬ごもりの虫を起こす)とも呼びます。
農作業をしている人たちからは、恵みの雨をもたらす兆しとして喜ばれたそうです。
春分の風習と食べ物
春分の時期の風習・行事と言えば、一番に浮かぶのは、お墓参りではないでしょうか。
春のお彼岸
春分の日を中日として、その前後3日間を合わせた7日間が、春のお彼岸です。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる通り、春のお彼岸の頃には冬の寒さも遠ざかり、暖かい日が増えてくるようになります。
このお墓参りという行事、ほかの仏教国にはなく、日本独自なんです。
極楽浄土が西にあると考えていた日本の人たちは、太陽が真東からのぼり、真西に沈む春分の日は、”最も極楽浄土に近づく日”だと考え、この時期に先祖供養をするようになったのです。
「お墓参り、最近行ってないなあ」と思ったあなた、今度のお彼岸には久しぶりにお参りしてみてはいかがですか?
春分に食べたい和菓子
春分=お彼岸とくれば、やはりぼた餅です。
お墓参りのお供えとしても定番です。
今はスーパーなどで1年中販売されている和菓子の1つですが、春分こそは食べたいですね。
ところで、ぼた餅とおはぎの違いってわかりますか?
見た目はほとんど同じなので、見分けがつきません。
それも当然です、同じものなんですから。
ただ名前が違うだけです。
厳密に言うと、春のお彼岸に食べるのがぼた餅で、秋がおはぎです。
ぼた餅は春に咲く花の牡丹から、おはぎは秋に咲く萩の花から名づけられています。
どちらにしてもおいしいです!
桜餅と花見団子
お花見シーズンには欠かせない桜餅と花見団子も春分にぴったりの和菓子です。
桜餅
桜餅は、道明寺粉を使ったつぶつぶの餅米で粒あんを包んだものが、関西ではおなじみです。
私ももちろんつぶつぶ桜餅しか食べたことがなかったのですが、ある時、クレープのような桜餅(長命寺餅に出会ったのです。
関東の方では、クレープ状の桜餅が当たり前だと聞いて、驚いたことを覚えています。
どちらもおいしいので、私的には両方OKですけどね。
花見団子
花見団子は、小さなころから大好きでした。
ピンク・白・緑の可愛い色がお気に入りで、よく母に買ってもらいました。
花見団子の色には、いろいろな由来があります。
ひな祭りに食べる菱餅に合わせたとか、邪気を払う意味があるとか、日本の四季に由来しているとか…。
機会があれば、花見団子を深掘りしてみますね。
桜餅と花見団子、そして春のお日様があれば、お花見の準備はばっちりですね!
春分の期間に京都で行われる行事
3月21日から4月4日までに京都で催される行事を紹介します。
底冷えの京都もやっと春めいてくるこのころは、桜や桃、梅以外にも多くな花が開花して、空気まで華やかになってきます。
和泉式部忌 誠心院 3月春分の日
京都市の中心部にある繁華街・新京極内にある誠心院は、平安時代の女流歌人・和泉式部ゆかりの陣です。
毎年春分の日には、和泉式部を偲んで、式部ゆかりの謡曲が奉納されます。
誠心院に伝わる式部ゆかりの品々の公開や、彼岸法要も行われます。
にぎやかな新京極とは、かけ離れた神聖な雰囲気の中で、和泉式部に思いを馳せてみてください。
和泉式部忌の法要に参加 pic.twitter.com/Ml00QQi0Ql
— やゆこ (@ygyr) March 21, 2021
誠心院公式サイト https://www.seishinin.or.jp/
はねず踊り 随心院 3月最終日曜日
随心院は、平安時代の女流歌人・小野小町ゆかりの寺院です。
小町と深草少将の「百夜通い」の伝説でも知られています。
はねずとは薄紅色のことで、この日はねず色の小袖を着た少女たちが、小野小町と深草少将に扮して、童歌に合わせて華やかに踊ります。
小野は随心院にて。はねず踊りが行われています。 pic.twitter.com/BqpEzCpV1V
— Akimizu(京都クルーズ) (@kyoto_cruise) March 31, 2019
梅園も公開されていて、可憐な梅の花を楽しみながら、小町と少将の悲恋に思いを馳せてみるのも一興です。
はねず踊りにちなんだ和菓子が、山科わかさ屋さんで販売されています。
はねず色の梅がとっても柔らかくて甘い和菓子になっていますので、機会があればお召し上がりくださいね。
随心院公式サイト https://www.zuishinin.or.jp/
終わりに
今回は春分についてお話ししました。
桜の開花情報が聞こえてくるこの時期は、花粉症もピークで結構つらいのですが、やっぱり春はいいですね。
マスクを2重にして、眼鏡もつけて、どこかへお出かけしたいです!
心おきなく、お出かけができる日がもうすぐやって来ることを信じて、今日も明るく暮らしましょう。
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