貴重な仏像・彫刻を見ることができる「六波羅蜜寺」

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京都屈指の観光エリア・清水東山へ向かう五条通りはいつも渋滞!

その渋滞を横目に見ながら、北へしばらく歩いた先にあるのが、今回紹介する「六波羅蜜寺」です。

住宅に囲まれるように建ち、通りからも本堂が見渡せるほどのこじんまりとした六波羅蜜寺、実はすごいお寺なのです。

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六波羅蜜寺の御本尊と由緒

六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)本堂の御本尊は秘仏の十一面観音菩薩立像です。

御本尊

本堂の中央奥の厨子内に安置されている御本尊・十一面観音菩薩立像(国宝)は、空也上人が刻んだ仏像で、12年に1度辰年にのみ開帳される秘仏となっています。

ただ開帳されるのはわずか1ヶ月ほどのため、公開期間は常に大混雑。

直近では2024年が辰年だったのですが、その貴重なチャンスを私はみごとに逃しました。

ちなみに本堂横に鎮座している銅製の十一面観音菩薩立像は、御本尊に似せて作られているそうです。

由緒

六波羅蜜寺の前身である西光寺が建立されたのは、天歴5年(951)のこと。

当時都に蔓延していた疫病の退散を祈念して空也上人が十一面観音菩薩立像を刻み、その仏像を御本尊として開創したとされています。

また、応和3年(963)に行われた、諸所の僧侶約600名が大般若経供養会(きんじだいはんにゃきょうくようえ)と諸堂の落慶法要を営んだことを受けて西光寺の始まりとする説もあります。

西光寺から六波羅蜜寺へ

寺名が六波羅蜜寺に改名されたのは空也上人の死後で、弟子の中信が仏教の教義である「六波羅蜜」と寺のある地域「六原」を合わせて名付けたとされています。

六波羅蜜とは仏の境地に至るための6つの修行のこと。

  • 布施(ふせ:見返りを求めない施し)
  • 持戒(じかい:自らを戒めること)
  • 忍辱(にんじょく:耐え忍ぶこと)
  • 精進(しょうじん:不断の努力)
  • 禅定(ぜんじょう:第三者の目で自身を見つめること)
  • 智慧(ちえ:真実を正しく見ること)

と簡単に説明するとこんな感じですが、実践するのはとても難しそうですね。

たびたびの兵火からの再興

平安時代後期には、六波羅蜜寺を中心に平家一門の邸宅が栄えますが、平家没落に伴う兵火により、本堂以外はほぼ焼失してしまいました。

その後もたびたび災禍に遭いましたが、源頼朝・足利義詮(よしあきら)、豊臣秀吉らにより再興・修復されてきました。

江戸時代には徳川代々の将軍より寺領も安堵され、この地には六波羅蜜寺の大伽藍が建広がりますが、明治の廃仏毀釈により寺域は大幅に縮小され荒廃しました。

昭和の解体修理により蘇る

その六波羅蜜寺が復興するのは、昭和44年(1969)の六波羅蜜寺開創1000年を記念して行われた本堂の解体修理です。

その際、創建当時と推定される梵字や三鈷・独鈷模様の瓦や、「今昔物語集」や「山槐記(さんかいき:平安時代末期の公家中山忠親の日記)に記載されている泥塔8000基が出土し、文化財・史料としても貴重な発見となったのです。

本堂は鮮やかな色彩がほどこされた当時の姿が蘇り、六波羅蜜寺は平安・鎌倉期の文化財を多数所蔵する寺院としても注目されるようになりました。

空也上人について

六波羅蜜寺開山の空也上人は醍醐天皇の皇子でありながら若くして出家し、厳しい修行を続けてきた人物です。

天歴2年(948)には、比叡山延暦寺で大乗戒(大乗仏教において菩薩が守るべき戒律:これを受けることで正式に僧侶と認められる)を授かります。

その後空也上人はただ「南無阿弥陀仏」と唱えることで、文字が読めない一般の民も救われると説きます。

歓喜躍踊(かんきゆやく)して念仏を唱える空也上人は、人々に「市聖(いちのひじり)」と呼ばれて大変慕われたそうです。

六波羅蜜寺の御利益

空也上人が疫病退散を祈念して開創された六波羅蜜寺の御利益は、もちろん無病息災!

でも境内にはさまざまなご利益スポットがありますので、境内の見どころで詳しく紹介しますね。

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境内の見どころ

六波羅蜜寺の正門は本堂正面にありますが、普段は閉門されています。

境内へは正門の南にある門から入ります。

入って正面にあるのが弁天堂、左に総受付所があります。

境内は令和館以外は無料でお参りできますが、令和館のみは総受付所で拝観チケットを購入しなければなりません。

まずは弁天堂にお参りしましょう。

都七福神の弁財天がお祀りされている弁天堂

こちらの弁天堂にお祀りされているのは、都七福神めぐりの一柱である弁財天です。

弁財天は七福神の中で唯一の女神。

水を神格化した神様で、芸能・金運・財運の神様として福徳自在の御利益があるとされています。

都七福神めぐりは日本最古の七福神めぐりとされているものです。

六波羅蜜寺の弁財天をはじめ、北から順に

  • 赤山禅院の福禄寿神
  • 松ヶ崎大黒天(妙円寺)の大黒天
  • 革堂行願寺の寿老神
  • 京都ゑびす神社のゑびす神
  • 東寺の毘沙門天
  • 萬福寺の布袋尊

の7社寺となっています。

美しく輝く十一面観音菩薩立像と一願石

弁天堂に向かって右手にあるのが先ほどちらっと紹介した十一面観音菩薩立像と一願石です。

一願石は願いを1つだけ叶えてくださるというご利益があるとされる石。

上部に取り付けられている円盤のような石を金色の文字を正面にして願いを込めながら3回回すという祈願方法です。

欲がたっぷりの私は願いを1つに絞れなくて、まだ祈願したことはありませんが、お参りの際はぜひ1度お願いしてみてください。

鎌倉時代の名残をとどめる重文・本堂

貞治2年(1363)に再建された本堂は、昭和44年の解体修理により美しくよみがえっています。

堂内へ入る前にまずは視線を上に…。

虹梁(こうりょう:梁)や蟇股(かえるまた:梁の組み合わせ部分にほどこされる装飾)の色鮮やかな彫刻にご注目ください!

境内に点在する源平の史蹟

平清盛公乃塚

弁天堂と本堂の間には平清盛公乃塚阿古屋塚、参道わきには六波羅探題跡の石碑など、平氏との深い関わりを示すような史蹟が点在しています。

阿古屋塚

阿古屋塚とは、平氏の武士を救ったと伝わる江戸時代人気のあった阿古屋という遊女の宝塔です。

撫で牛

手水鉢の脇には無事の帰宅を願ってくれている「無事かえる」が鎮座。

見逃してしまいそうなほど石にへばりついたカエルさんが、可愛い!

本堂の少し北側参道わきに鎮座しているのが「撫で牛」です

撫で牛は、体の悪いところや痛いところと同じ部分を撫でると良くなる病気平癒の御利益があるとされています。

銭洗い弁財天

境内奥最も北にあるのが地蔵堂です。

堂内中央手前にお盆にご先祖様をお迎えするために撞く「迎え鐘」、奥には銭洗い弁財天・水掛不動尊・水子地蔵尊が安置されています。

水子地蔵尊

左側にいらっしゃるのが銭洗い弁財天、二柱目の弁財天です。

こちらの弁天様は、特に金運の御利益があることで知られています。

弁天様の前に置いてあるあるにお金(硬貨でもお札でもOK)を入れて柄杓一杯分の水を3回に分けてお金にかけて清めます。

一粒が万倍にもなるという吉日・一粒万倍日には多くの参拝者でにぎわいます

清めたお金は使わずに貯めておきましょう。

数々の宝物を見ることができる令和館

最後に紹介するのは、六波羅蜜寺所蔵の宝物をじっくりと拝観することのできる令和館です。

左は本堂です。
小さな門をくぐった奥にあるのが令和館。

総受付で購入したチケットを渡して館内1階には鎌倉時代の弘法大師空海坐像に平安時代の薬師如来坐像、その周りには多聞天・広目天・持国天・増長天の四天王像が安置されていました。

筋肉隆々の四天王、それぞれに持っている仏具や表情が異なり、とても興味深かったです。

彫刻のすばらしさに圧倒されつつ、2階へ上がるとあの空也上人立像が!

思いのほか小さな像だったことにびっくり

浮き出た肋骨や細い足、衣のひだや今にも歩き出しそうなリアル感がすごいです。

もちろん口から出ている阿弥陀様の数もしっかりと確認。

空也上人の隣には、出家後の平清盛坐像があります。

空也上人立像の倍もあろうかという量感。

虚ろにも感じる眼で経典を見る姿は、少し不気味でした。

その奥にも素晴らしい彫刻が並んでいます。

鎌倉時代の仏師・運慶とその子湛慶の坐像や「かつら掛け地蔵」と俗称されている地蔵菩薩立像などなど。

お参りされる方のすべてが令和館を拝観されていないようでしたが、六波羅蜜寺を参拝されるなら、ぜひともこちらの令和館は見ていただきたいと思います。

令和館入口にあるグッズもお見逃しなく

空也さんの可愛いステッカー

本物を間近で見られる貴重な機会です!

六波羅蜜寺の御朱印

六波羅蜜寺には通常拝受されている御朱印以外に特別御朱印や巳の日限定御朱印など多彩な御朱印があります。

六波羅堂の御朱印

六波羅蜜寺の代表的な御朱印は「六波羅堂」の御朱印で、西国三十三所第17番札所と洛陽三十三所第15番札所の2種類があります。

私がいただいたのは洛陽三十三所の御朱印。

西国三十三所の御朱印は右上の朱印が「西國十七番」になります。

札所の御朱印にはそれぞれ御詠歌が墨書きされたものもあります。

弁財天の御朱印

都七福神の弁財天の御朱印も授与されています。

毎月7日は金印が押印されるため、それを目指してお参りされる方もいらっしゃるとか。

また、弁財天のお使いである蛇にちなみ、巳の日限定で「福寿弁財天」の特別金印も押印されます。

空也上人の御朱印

令和4年(2022)からは「空也」の御朱印授与も始まっています。

中央に力強く墨書きされた「空也」の文字がとても美しい御朱印。

左上には空也上人と6体の阿弥陀仏、中央の朱印は鉦鼓と6体の阿弥陀仏が押印されています。

私は最近(2025年)になって気づいたのですが、空也上人の切り絵御朱印も授与されていたので、しっかりといただきました。

空也上人の姿がデザインされた見事な切り絵で、とてもきれいです。

おすすめの行事・祭事

六波羅蜜寺の行事としてよく知られているのは、正月の皇服茶(おうぶくちゃ)授与・お盆の万燈会・年末の空也踊躍念仏(くうやゆやくねんぶつ)です。

皇服茶授与 1月1日~3日

皇服茶とは梅干しと結び昆布が入ったお茶で、空也上人が梅を入れて仏前に献じたお茶を病人に飲ませたところ病が平癒したという寺伝に由来しています。

お正月に飲む縁起物のお茶は一般には「大福茶」と呼びますが、六波羅蜜寺の場合はそのお茶を村上天皇も服したことから「皇服茶」と称されてるようになったそうです。

万燈会 8月8日~10日

本堂内で灯芯による大文字の「大」の点灯を行い、七難即滅・七福即生の祈願が行われる六波羅蜜寺の万燈会は空也上人が応和3年(963)に始めたお盆の行事です。

期間中は地蔵堂にある「お迎え鐘」の引綱を引くこともできます。

お迎えしたご先祖の精霊は16日の五山の送り火によって彼岸へ送られます。

空也踊躍念仏 12月13日~31日

踊躍念仏とは、京に疫病が蔓延した際、空也上人が病気退散を願い念仏を唱えながら踊躍した踊念仏のことで、重要無形民俗文化財に登録されています。

鎌倉時代には集団で念仏を唱えながら踊ることを弾圧されたため、夕やみに隠れるように行ったことから「かくれ念仏」という別名もあります。

期間中、15:30より本堂にて僧侶が輪となり鉦を叩きながら「モーマーナンマイトー」と唱え踊り回ります。

「ナンマイダー」と聞こえないのは、弾圧する権力者に念仏を唱えると知られないためだったそうです。

参拝者も共に唱え、一体となる不思議な時間を年の終わりに体験してみては?

終わりに

休日でも朝に参拝すれば案外空いていることが多い六波羅蜜寺。

その東にある清水寺一帯は大変な混雑ぶりでも、ここは思いのほか静かです。

なので私の好きな寺院の1つでもあります。

もちろん1番の理由は空也上人立像。

歴史の教科書でひときわ印象的だったあの空也上人像を初めて見たときの衝撃は今でも忘れません(けっこう最近ですが…)

寺社めぐりのだいご味は仏様や神様にお会いすることももちろんですが、歴史的な建造物・文化財・彫刻を目の当たりにできるところだと思っています。

京都だけでなく、日本全国に古き良き文化・文化財・景色が残っています。

それらを少しでも長くそのままの姿で残したいものです。

To preserve Kyoto’s beautiful cityscape, please observe proper etiquette.

  • Please refrain from taking photos on the street.
  • There are few trash cans in Kyoto, so please take your trash with you.
  • Please refrain from loud conversations and noise.
  • Please be quiet and observe proper photography etiquette at shrines and temples.
  • Please do not touch or damage Buddhist statues or cultural properties.

京都の美しい街並みを残すため、マナーをお守りください

  • 路上での写真撮影は控えめに
  • 京都市内はゴミ箱が少ないのでゴミは持ち帰りましょう
  • 大声での会話・騒音は控えましょう
  • 神社仏閣では静かに行動し、撮影マナーを守りましょう
  • 仏像や文化財を触ったり、傷つけたりしないでください

六波羅蜜寺 基本情報

  • 住所 京都市東山区ロクロ町81-1
  • 電話 075-561-6980
  • 境内自由
  • 開門時間 8:30~16:30
  • 令和館拝観料 大人600円/大中高生500円/小学生400円
  • 拝観時間 9:00~16:15

公式サイト https://rokuhara.or.jp/

アクセス

  • 最寄り駅 京阪「清水五条」徒歩約7分/阪急「河原町」徒歩約15分
  • バス 「清水道」徒歩約7分

バス・鉄道乗換案内 https://www.arukumachikyoto.jp/

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