白川紺子さんの『下鴨アンティーク』を読めばもっと京都が好きになる…かも!

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『下鴨アンティーク』は、白川紺子さんが書かれた京都下鴨に住む野々宮家の人々を中心に着物にまつわるミステリーを解き明かしていく物語です。

下鴨神社境内

簡単に言ってしまえばこんなお話なのですが、読んでみると魅力がいっぱいで、『下鴨アンティーク』の世界に引き込まれてしまうのです。

今回は、『下鴨アンティーク』の魅力をたっぷり紹介します。

京都好きの方、着物好きの方は特にご注目くださいね!

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『下鴨アンティーク』の登場人物とあらすじ

物語の主人公は、高校生の野々宮鹿乃。

兄で古美術商の良鷹とその友人で大学の准教授の八島慧と暮らしています。

1年前に亡くなった祖母が蔵に預かっていたアンティーク着物が”いわく”つきで、不思議な出来事がおこります。

着物好きの鹿乃が慧や兄たちの手を借りながら、その不思議を解決して元の持ち主に返していくというお話です。

着物にまつわる謎は、切ないものが多くて、それぞれの着物に関わってきた人たちの哀しい心が見えるようです。

でも、その結末は悲しいままでは終わりません。

鹿乃たちの心遣いで、心がほっとするような、ストンと納得するような解決が待っていますので、読んでいてとても温かい気持ちになります

舞台が京都ということも影響しているのでしょうか、物語全体がはんなりとしていて、どことなく落ち着いた情景が想像されます。

もちろんキャラクターも魅力たっぷりです。

着物好きで、どこかおっとりとしていてちょっと抜けている(?)鹿乃
超イケメンなのに、普段の生活は超だらしない、でも実は妹思いの良鷹
どこか影があり、近寄りがたい雰囲気を持っていながら、とっても優しい慧

イケメン2人に囲まれ、守られて暮らしている鹿乃ちゃんがうらやましくなっちゃいます。

「ああ、鹿乃ちゃんになりたい…」

あなたは、良鷹派?慧派?

なんて、つい考えちゃいますよ。

でも実は伏兵がもう1人、登場するのですよ。

アンティーク着物の謎とともに、鹿乃ちゃんの恋の行方も気になる物語なんです。

 

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舞台となっている下鴨ってどんなところ?

野々宮家があるのは、京都市左京区の下鴨です。

野々宮家は、京都の左京区、下鴨にある。
(中略)
野々宮家のあるあたりは、こんもりと茂った大きな森ーー糺の森がある下鴨神社を中心とした閑静な住宅街である。
『下鴨アンティーク アリスと紫式部』

下鴨神社や糺の森があり、緑の美しい下鴨地域は、ただ歩いているだけでも癒されるような気持ちのよい場所です。

特におすすめは、鴨川デルタ

東の高野川と西の賀茂川が合流する三角州です。

岸と鴨川デルタをつなぐ飛び石には、亀や千鳥の形もあり、楽しく渡れます。

鴨川デルタの風景は、『下鴨アンティーク』だけでなく、『有頂天家族』や、アニメの『けいおん!』『たまこまーけっと』にも登場し、アニメの聖地としても有名です。

特におすすめは、夏の夕方です。

京都特有の蒸し暑さがほんの少しだけ和らぐ時間。

川風にあたりながら、飛び石を渡るのは、とっても気持ちいいですよ。

ただし、虫よけ対策は忘れずに。

鹿乃と慧が食べていた豆餅とは?

『下鴨アンティーク』には、おいしそうな和菓子やスイーツもたびたび登場します。

「アリスと紫式部」で気になったのは、豆餅です。

「ほんなら、ちょうどええ。帰ってこれでお茶しよ」
と、店の袋を開いて見せる。のぞきこめば、パックに豆餅が六つばかり、入っていた。三人分にしては、多い。
(中略)
「…食べ過ぎだろ」
「春やから、ええねん」
意味が分からない。鹿乃の理屈は、時々謎だ。
「ひとつはな、鴨川のほう寄って食べてこ、思てたんよ。慧ちゃん、行く?」
『下鴨アンティーク アリスと紫式部』

これはおそらく、いや絶対、老舗和菓子屋「出町ふたば」の豆餅です。

下鴨界隈だけでなく、京都のお土産としても有名な豆餅!

ふわふわもちもちの柔らかいお餅と優しい甘さのこしあん、お餅にごろごろと入っている豆の塩加減が絶妙においしいのです。

「ああ、食べたくなってきた…」

でも「出町ふたば」の豆餅は、消費期限が短く(常温で製造日当日)ネット販売されていません。残念!

もし京都下鴨へ行くことがあれば、ぜひ豆餅を召し上がってみてくださいね。

京都巡りにはこの本がおすすめです。出町ふたばも載ってますよ。

 

物語の魅力

『下鴨アンティーク』の一番の魅力は、やはり京都の空気が感じられるところです。

鹿乃たちが歩く風景やお店などには、実在する場所もあり、ちょっとうれしくなったりして。(ロケ地めぐり的な楽しさですね)

糺の森

でもほかにもいろいろと魅力があるんです。

鹿乃の着物が可愛い

鹿乃は着物が好きで、休日は祖母のおさがりの着物を着て過ごします。

それも、毎回テーマを決めて、着物を着るのです。

鹿乃は、着物を着るとき、テーマを設定するのが好きだった。赤い紬に油彩調で森を描いた染め帯を合わせて『赤ずきん』、浅葱の縞御召に蛙柄の帯で『梅雨』などという具合だ。そうしてそれを、なぞなぞのように慧に尋ねて、当ててもらうのも好きだった。       『下鴨アンティーク  アリスと紫式部』

アンティークの着物は、大胆な柄や色遣いのものが多く、とても遊び心があります。

私も好きですが、コーディネートできるほど着物を持っていないので、鹿乃ちゃんの着物を想像して楽しんでいます。

鹿乃と慧の今後が気になる

本を読み始めて結構初めの方で、鹿乃の慧に対する気持ちがわかってきます。

でも、慧がどんな風に思っているかは、はっきりとは描かれていません。

その上、春野という新たに違うタイプのイケメンも出てきます。

春野は歳に似合わず落ち着いた物腰であるせいか、するするとはなせてしまうところがある。男性くささを感じさせないというか、中性的というかーーやはり植物的というのがしっくりくる。良鷹は『あれはたらし・・・のたぐいや』と評するのだが。
『下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ』

今後の展開がいろいろ気になるところなんです。

だから、余計に次の本が読みたくなっちゃう。

ツンダラ(ツンツンだらしない)の良鷹も気になる

ひとたび仕事スイッチが入って、スーツなど着ようものなら、とんでもなくかっこいい良鷹なのですが、家の中では、超ぐーたらで、いつもダラダラしています。

お節介な人なら、ほっとけないキャラクターの良鷹には、何か出会いがあるのでしょうか。

ちょっと気になります。

本の表紙が素敵すぎる!

実は、私がこの本を手にしたきっかけは、表紙の絵に魅かれたことです。

アンティーク着物のようにモダンで、鮮やかで、それでいて可愛い。

キャラクター読みならぬ表紙カバー読みと言っても過言ではありません。

目次の表題も和洋折衷のおしゃれな感じで魅力的ですよ。

 

『下鴨アンティーク』シリーズの紹介

『下鴨アンティーク』は、全8巻出版されています。

ほんわかミステリーとアンティーク着物、キュンキュン恋の行方に、京の風景を同時に楽しんでみたい方、一度読んでみてくださいね。

 

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小春

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