『愛なき世界(上)(下)』三浦しをん ―情熱という名の愛に突き動かされる青春小説―

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三浦しをん『愛なき世界』あらすじと主な登場人物

あらすじ

洋食屋の見習いである藤丸陽太は、

恋愛・生殖に興味ゼロの院生・本村紗英に恋をする。

本村は、殺し屋の雰囲気を帯びた教授や

サボテン一筋の後輩男子など、個性豊かな仲間に囲まれ

日々、シロイヌナズナの葉の研究に没頭中。

植物が恋のライバルとなった藤丸の想いは花開くのか_____

道端の草を愛おしいと思えるような、

温かくて小さな愛が沢山ある青春小説。

主な登場人物

藤丸 陽太……T大御用達の洋食屋「円服亭」の見習い。T大院生の本村に恋をする。天然でマイペースで時々言葉を間違えることがあるが、優しく寛大。

本村 紗英……T大の大学院生。シロイヌナズナの葉の研究をしている。研究者としての自信があまりないようだが、植物に対しての愛は深い。

松田 賢三郎……T大理学部教授。いつも黒いスーツに白いシャツを着ている。初見で藤丸からは「殺し屋」、本村からは「死神」のようなムードを纏っている印象を抱かれる。そのため、研究者としても教員としても秀でているが学生受けが悪い。

~松田研究室のメンバー~

川井……30歳前後の男性研究者。助教。

岩間……20代後半の女性研究者。ポスドク(博士研究員)。本村と同じシロイヌナズナを研究で取り扱う。

加藤……サボテンをこよなく愛する。本村の後輩。植物を育てるのが上手い、いわるゆ「緑の指」を持つ。

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『愛なき世界』上・下巻 読了後の感想

「植物には思考も感情もない。

『愛』という概念がないのです。

それでも旺盛に繁殖し、

地球のあちこちで生きている。

不思議だと思いませんか?」

自分が考えたことのなかった“不思議”や、

こんな疑問を持っていても無意味だと

決めつけてしまいいつの間にかいなくなる

“知りたい”という感情。

それに本村や大学の仲間たちが真摯に向き合い、

情熱を注いでいる描写に青春を感じずにはいられませんでした。

植物を研究をしているからか、本村達研究室の面々は

どこか植物のようで、

配達に来る藤丸は太陽のようで。

特に本村は、藤丸からの光で

光合成をしてるみたいな気持ちだったんじゃないかなあ

と思ったりしました。

作中に登場する研究の描写も、

細やかに描かれており、

自分も研究者の一員として参加しているかのよう。

しかし、

作中に登場する「エッペンチューブ」

「チャンバー」「ピペットマン」など、

純度100%文系の私には初めましての単語ばかりで、

その都度スマートフォンでどんな形状の道具なのか

検索しながら読んでおりました。

少し賢くなったような…(ない)

上・下巻それぞれの文庫には特別付録、

『藤丸くんに伝われ 植物学入門』

として、私のようなガチガチの文系人間でも

わかるように、実験器具や用語解説が

記載されているので、ありがたかったです。

個人的に、松田先生のキャラがとても良くて、

下巻で明かさせる先生の過去には

胸を締め付けられました。

また、とにかく装丁が美しい!

つい、自然を背景に写真に収めたくなったのです。

「愛なき世界」というより「愛に包まれた世界」だった

本村は「植物の世界に愛はない」と言ったけど、

何に役に立つとか、意味があるとか、

そういうものを抜きにして純粋に「知りたい」

という気持ちを持って植物に向き合う本村たちは

間違いなく“愛”によって動かされていたように思います。

愛を持って研究する者たちがいる限り、

植物の世界にも愛はある。

でも、本村が言うように感情も思考もない

植物が繁殖を続け、この世界に生きている

それだけで人を魅了することができるのは

確かに不思議に思えます。

純粋に何かを「知りたい」と思う感情も、ある種の“愛”。

この作品は、

いつかの自分が捨ててしまった感情に、

久しぶりに突き動かされてみよう

という気持ちにさせてくれました。


Written by さくらもち

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