『リボルバー』原田マハ ―芸術が過去と現在を交差させる。絵画から導き出される真実とは―

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原田マハ『リボルバー』あらすじ

フランスの小さなオークション会社、

「CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)」に勤める高遠冴。

パリ大学で美術史の修士号を取得した彼女は

高額の絵画取引に携わりたいと願っていた。

そんなある日、冴の元に

一丁の錆びたリボルバーが持ち込まれる。

それは

「フィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使用された」

といういわくつきのものだった。

「ファン・ゴッホはほんとうにピストルで

自殺をしたのか?」

「殺されたんじゃないのか?あのリボルバーで」

だとしたら、引き金を引いたのは誰なのか_____

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小説『リボルバー』感想

同じ時代に、

同じ画家として生きたゴッホとゴーギャン。

アルルでの約2ヶ月ほどの2人の共同生活。

ゴッホが拳銃で自殺を図ったという定説こそあるが、

それを証明する目撃者はいない。

 

そのことが、余計に

「もしかすると原田マハさんの

この空想こそが真実なのでは?」

思わせられる説得力がありました。

私たち現代で生きるものがゴッホという画家の

人生を史実によって知ることはできても、

そこに血は通っていない。

芸術に特別精通しているわけではないけど、

この作品を読んでいる間は

2人の画家の人生がすぐ近くに感じられます。

関係者の独白で謎が明かされていくさまが

すごく丁寧で、だから余計に

ゴッホとゴーギャンに想いを馳せることができました。

 

関ジャニ∞ 安田章大さん主演で舞台化も

この作品は2021年夏、

関ジャニ∞の安田章大さん主演で

舞台『リボルバー ~誰がゴッホを撃ち抜いたんだ?~』

として舞台化されました。

関ジャニ∞安田章大主演舞台『リボルバー~誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?~』初日開幕 キャストコメント&舞台写真到着 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス
関ジャニ∞安田章大主演舞台『リボルバー~誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?~』初日開幕 キャストコメント&舞台写真到着

私自身、この舞台を観劇をするための予習として

この本を手に取ったのですが、

芸術に疎い私でもとても物語に惹き込まれ、

つい一気読みをしてしまいました。

舞台のパンフレットに記載されていたのですが、

この舞台の脚本を書いてみないかという声がかかった

原田マハさんは、戯曲を書くのが初めてだったそうで、

まず小説を書き、そこから戯曲にされたそうです。

最初に書き上げられた脚本はかなり長尺のもので、

そのまま上演すると4時間を超える(!)と指摘があり

(実際の舞台上演時間は2時間20分)

そこからかなり削ったそうです。

監督をされた行定勲さんにも、

『小説で描けなかった部分を演劇にする』

仰っていたそう。

それもあってか、舞台と小説では相違点もいくつかあり、

舞台を観劇した方も

この小説は新鮮に楽しめると思います。

また、ゴッホを演じた安田章大さんの演技も圧巻でした。

2018年に髄膜種の手術を受けた後遺症により、

強い光を見続けると立ち眩みを起こすことがあるという安田さんは、

舞台中ずっと裸眼で挑まれ、役作りの為に減量され、

開いた襟ぐりから見えた胸元は骨ばっていました。

カーテンコールにおいても彼は、一切役を抜くことなく、

その場にフィンセント・ファン・ゴッホとして登壇し続けたのです。

なんて俳優だ、と恐怖さえ覚えました。

本当に憑りつかれたかのようで。

舞台が円盤化され形に残されないのが惜しい。

願わくば舞台円盤と小説とを並べて、

その横に向日葵を添えたい、と思います。


Written by さくらもち

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