室積光さんの「史上最強の内閣」と「史上最強の大臣」を一気読み。
爽快な気分になるとともに、特に「大臣」の方は感動しました。
こういう大臣たちが本当にいてくれたらもっといい日本になっていたかも。
ちょっと政治を知っていれば、だれがモデルなのかわかるので、「そうそう」なんて相槌を打ってしまいます。
権利権益にしがみつく議員やあきらかな老害となったあの議員とか…。
毎日うんざりするような政権の姿を見ていると、この本の世界に入りたくなります。
さて、いったいどんな日本がこの本の中にあるのでしょうか。
乞うご期待です!
史上最強の内閣
日本に向けて、北朝鮮が中距離弾道核ミサイルの発射準備を始めた!
目の前に迫った超本物の危機に、内閣は、京都からある人たちを呼び寄せました。
それは、明治以降密かに立ち上げられ、ずっと準備をしていた影の内閣。
支持率低迷の現内閣は、日本の危機を回避すべく、彼ら真の内閣に政権を譲ります。
現内閣を2軍内閣、京都御所からやってきた彼らが1軍内閣という呼び方は、何んとも爽快です。
なんといっても、公家出身の二条首相をはじめ、大臣のネーミングが最高です。
戦国から幕末にかけての有名人をモデルとして、歴史好きならニヤッとするような大臣になっているのです。
そして、彼らの信念と行動力がすさまじい。
今の政治を皮肉ったり、揶揄しながら、理想の政治家を描いているようにも思えるし、現実の日本国民の政治への関心のなさをつついているようでもあり。
本を読みながら、クスっとしたり、「なるほど」と感心したり、時に首をひねったり。
合点がいかない部分も含め、今までにない痛快政治パロディ小説でした。
本当にそんな1軍内閣が本当にあれば、今のコロナ危機もなかったのでは?と思わせてくれるし、今のあの頼りない内閣がもっと頼りなく見えてしまいました。
初めから終わりまで、スピード感のある楽しい小説です。
著者の思想が見え隠れするので、好き嫌いはあると思いますが、一読の価値ありの作品です。
史上最強の大臣
日本の非常事態を回避し、再び京都御所へ戻った二条内閣。
政権が2軍(と国民が認めた)内閣に戻り、以前のようななれ合い政治が行われている中、大阪府の町本知事がひそかに京都御所へやってきます。
全国学力テストの結果が芳しくない大阪府の教育改革について助言を求めるためでした。
本来ならば、本物の日本の危機以外には、活動しない二条内閣でしたが、文部科学大臣の新門辰郎が大阪府の教育改革に協力することになります。
『史上最強の内閣』とは違い、こちらの本では、教育問題を扱っています。
信念をもって、懐の深い大胆な政策を打ち出す新門大臣と二条内閣。
それに対し、批判の声を上げるメディアもいます。
教育改革に反対する人々も出てきますが、それに応対する新門大臣の姿勢は、今の大人たち、トップに立つ人たちにこうあってほしいと思えるような素晴らしいものです。
ただ後半は、若干、教育論など説明や著者の考えを述べているであろう箇所が、少し多かったかなという印象でした。
こちらも好き嫌いがはっきりすると思いますが、ハマれば感動間違いなしです。
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