『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』標野 凪 ―頑張りすぎなあなたの心をほぐす一冊―

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標野 凪『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』あらすじ

住宅地の奥でひっそり営業している、

おひとり様専用カフェ『喫茶ドードー』

この喫茶店には、頑張っている毎日から

ちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、

ふらりと訪れる。

目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と

強ばった心を、店主・そろりの美味しい料理が

優しくほぐす。

心がくつろぐ連作短編集。

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『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』読了後の感想

本を開いて1番に見る目次。

第1話「自己肯定力を上げるやかんコーヒー」
第2話「心が雨の日のサンドイッチ」
第3話「自分をいたわる焼きマシュマロ」
第4話「森のおとしものと森のおくりもの」
第5話「幸せになる焼きリンゴ」

 

まるでメニューのようで美味しそう!

 

この作品には、コロナ禍で生活様式が一変した現代や、

その時代に対するいろんな人の価値観がリアルに反映され、

描かれていました。

各話の主要人物はそれぞれ5人、

SNSの「ていねいな暮らし」に振り回される人。

頑張って働きすぎて体調を崩してしまう人。

アップデートが求められる世の中で、

自分の考え方と世間の考え方の違いや、

現実とのギャップにもやもやしてしまう人。

それぞれいろんな世代の人で、

現代ならではのいろんな悩みを抱えています。

その中できっと、自分の悩みと近い人が現れるかもしれません。

登場人物たちはみんな、もやもやをため込んでしまったり、

疲れてしまったときにひょんなことから

『喫茶ドードー』を見つけます。

そこの店主・そろりがまた良いキャラをしてるのです。

少し古風でマイペースな話し方、

なんとなく抜けているようで、

しかしふいに

「自分が自分をいたわってあげなくて、

誰がいたわるんですか?」

というような

核心に触れたような言葉を飾りっけなく発する。

きっとそろりが持つ素朴でゆるやかな雰囲気が

そろりの言葉を、登場人物たちの心に

自然に浸透させることができたんじゃないかなあと思います。

(個人的には、そろりの

「毒だってたまには薬になるのです」

という言葉に、心が少し軽くなりました)

登場人物たちが出会う、そろりの料理や飲み物も

とても美味しそうで、

どれだけ世の中が変わっても、

美味しいものを食べたときに感じる幸せは変わらない

ということを思い出させてくれます。

そろりの料理や飲み物が美味しかったから、

みんなの心もほぐれたんだと思います。

また、一見繋がりのなさそうなところが

繋がってきたり、伏線になっていたりするので、

読みごたえもかなりありました。

「人は必要な時に、必要なものと出会う」と思わせられる

目まぐるしく変わっていく世の中で、

知らず知らずのうちに心をすり減らしている。

それに気づかずに走り続けてしまう。

自分がどうしようもなくダメな人間に思えてしまう。

溜まった毒を上手く抜けないでいる。

そんな人たちは多いと思います。

この本の、悩める登場人物たちは、

ふと心が重くなったときや疲れてしまったときに、

『喫茶ドードー』を、

そして、自分の心にぴったりなメニューと出会いました。

きっとそんなときにしか見えないものがあるし、

それが、必要なときに必要な人やものや、場所と出会う

ということなんじゃないだろうか。

決して説教臭くなく、自然に

そう思わせてくれる一冊でした。

私はこの本を、頑張りすぎた人や、自分をうまく

いたわることができない人にすすめたい。

きっと心がほぐれる。

Written by さくらもち

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