京都の北東、比叡山の麓にある赤山禅院。
紅葉の名所としても有名です。
寺院でありながら、神社のような雰囲気もある不思議な赤山禅院は、京都にとってとっても大切な役目をしているのです。
今回は、赤山禅院の由緒・見どころなどについて紹介します。
赤山禅院の由来
赤山禅院の創建は、仁和4年(888年)、ご本尊は、赤山明神です。
伝教大師・最澄の弟子、慈覚大師・円仁は、最澄が入滅したのちも、天台教学をもっと学びたいと、遣唐使団として、唐にわたりました。
10年近くにも及ぶ修業の中で自分を守護してくださっていたとして、円仁は、赤山大明神に非常な感謝をしていました。
そして、日本に帰ったら必ず赤山大明神を勧請して寺院を建立すると決心しました。
天台密教の基礎を固めた円仁でしたが、寺院の建立は簡単にはできません。
心残りのまま、円仁は病床に臥します。
病床に弟子たちを集めた円仁は、必ず赤山大明神を勧請して寺院を建立するように遺言したのです。
師匠の遺志を継いだ弟子たちは、苦労の末現在の場所に赤山大明神を勧請し、赤山禅院を建立したのです。
平安京の鬼門を守る
平安京は、四神相応の方位にのっとって作られた都でした。
平安時代に重用されていた陰陽道では、東北を表鬼門・西南を裏鬼門と言い、鬼が入ってくる忌むべき方角とされていました。
赤山禅院は、平安京の東北にあること・本尊の赤山明神が陰陽道の祖神であることから、都を守護する寺院として信仰されるようになりました。
現在でも有名なパワースポットとして知られていますよ
赤山禅院のご利益
赤山大明神は、天にあっては福禄寿神、地にあっては泰山府君(たいざんふくん)とされて、万物の命運を司るとされています。
特に商売繁盛・延寿・健康のご利益があると言われています。
表鬼門を守護していることから、方除け・厄除けのご利益もあるとされています。
赤山禅院の見どころ
赤山禅院へは、白川通りから東へ15分ほど歩いたところにあります。
坂道が続きますが、風情のある風景が多く、気持ちが良い道筋です。
山門から参道、拝殿へ
赤山禅院の石鳥居には、後水尾天皇から賜った勅額(レプリカ)がかかっています。
山門から参道への道は、秋には鮮やかな紅葉に彩られ、まるで紅葉のトンネルのようになります。
参道を上がりきると社殿が見えてきます。
社殿の屋根には、猿が!
猿は申とも書き、鬼門とは反対の方角西南西を指すことから、邪気を払う力があると言われています。
そのため、鬼門除けとして猿が鎮座しているのです。
でもよく見るとなぜか、金網に中に閉じ込められています。
実はこのお猿さん、夜になると暴れていたずらをするので、閉じ込められたそうです。
閉じ込められたままでも、京都の鬼門を守ってくれているありがたいお猿さんです。
2つの大きな念珠の門
本殿の前には、大きな念珠の門があります。
これは、「正念誦」「環念珠」という密教の重要な考え方を示しています。
最初の数珠の門をくぐりながら、叶えたい願い事を思います。
参拝の間もその願い事を思い続け、もう一度念誦の門をくぐるときに、やはり自分にとってかけがえのない願い事だと感じたなら、叶えるために努力することを誓い、仏様に力を貸していただけるようにお願いをするのです。
ただお願い事をするのではなく、まず自分が努力することが大切なのです。
それを自然にわからせてくれるのが、念珠の門なのだと思います。
毎年11月23日には、使わなくなった数珠をお焚き上げする数珠供養が催されています。
傷んだり、塗りがはげたりして使わなくなった数珠は、普通にごみとして捨てることには何となく抵抗があるものです。
そんな時は、赤山禅院でお焚きあげしてもらうのがおすすめですね。
境内のお堂
境内には、拝殿・本堂以外にも多くのお堂があります。
地蔵堂
赤山明神は、地蔵菩薩の化身とされているため、地蔵菩薩をお祀りする地蔵堂があります。
地蔵堂周辺の紅葉もきれいです。
弁財天
赤山禅院の弁財天は、「出世弁財天」として広く信仰されています。
福禄寿殿
福禄寿神を祀り、七福神の御朱印も受け付けています(9:00~16:30)
相生社
夫婦鳥居と呼ばれる2つの鳥居が並んでいる珍しいお堂です。
「おしどり絵馬」という縁結びの絵馬があります。
不動堂
比叡山と赤山禅院を繋ぐ雲母坂(きららざか)にあった雲母寺の本堂と不動明王が移されたものです。
ゆっくりと回ってもそれほど時間はかかりませんので、森林浴をしながらお参りしてみてくださいね。
赤山禅院の紅葉
紅葉の名所として有名な赤山禅院。
鮮やかな紅葉を楽しむなら11月中旬から下旬がおすすめですよ。
赤山禅院基本情報
拝観時間 9:00~16:30
開門 6:00 閉門 18:00
境内自由・無料
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