京都嵐山から竹林の道を通った奥嵯峨野。
ひっそりとした静けさの中にあるのが化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)です。
今回は、なんとも哀し気な雰囲気の漂う化野念仏寺を紹介します。
京都市街の観光地とは、別世界のような場所へご案内します。
化野念仏寺の由緒
化野念仏寺は、今から約千二百年前の平安時代、弘法大師空海が五智山如来寺を開創されとう、野ざらしになっていた多くの遺骸を埋葬したことから始まったといわれています。
その後、法然上人の念仏道場となりました。
現在は、華西山東漸院(とうぜんいん)化野念仏寺と称する浄土宗のお寺です。
ご本尊は阿弥陀如来。
化野の地は、東山の鳥辺野と同じく古来より葬送の地となっていました。
初めは風葬がでしたが、のちに土葬が一般的となり、石仏を奉るようになりました。
何百年もの時を経て、その多くの石仏は無縁仏となり、化野の地に散乱していました。
現在念仏寺境内にある約8000体もの石仏は、明治36年ごろに地元の人々の協力のもと集められ、安祀されたたものです。
石仏が並んだ様子は、賽の河原に似ていたことからいつしか「西院(さい)の河原」と呼ばれるようになりました。
境内には水子地蔵もお祀りされ、毎月24日には水子供養が行われています。
幾千体もの無縁仏を弔う夏の夜
毎年8月の最終土曜日と日曜日に行われるのが千灯供養です。
(令和元年までは8月23・24日に行われていましたが、令和2年から変わっています)
千灯供養とは、境内の西院の河原にお祀りされている無縁仏にろうそくを灯してご供養する行事です。
数千のろうそくに灯された明かりは、幻想的でまた厳かな風景を作り出します。
ゆらゆらとゆらめく灯りの中に静かにたたずんでいる石仏は喜んでくれているのでしょうか、それともやっぱり寂しいのか、見ているとちょっと切なくなってきます。
化野念仏寺
拝観時間 9:00~16:30(受付終了)
拝観料 大人500円 中高生400円 (小学生以下無料)
アクセス
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車
京都バス 72系統(京都駅より)62系統(京阪三条・四条河原町より) 鳥居本下車 徒歩4分
嵯峨嵐山駅からは、嵐山周辺を散策しながら歩くのがおすすめです。
直接化野念仏寺へお越しになりたい場合は、京都バスがいいですよ。
愛宕街道を灯す行灯:愛宕古道街道灯し
約20年前、千灯供養への参拝者を迎い入れるため、また地元の地蔵盆を盛り上げるために奥嵯峨への街道沿いに手作りの行灯を灯しました。
この灯りが年々大きくなり、奥嵯峨野の古き良き街並みをほのかな灯りで照らし出すお祭りになりました。
それが「愛宕古道街道灯し」です。
静かな山々に囲まれた街並みを行灯に誘われるようにゆっくりと散策すると心の中の「しんどい」が少しずつ溶けるようです。
このお祭りは、奥嵯峨野が紅葉に彩られる季節の年間行事としてすっかり定着しています。
まだ行ったことのない人も多いと思いますので、どうぞ一度参加してくださいね。
紅葉が素晴らしい念仏寺
秋の嵯峨野は、どこを見ても見事な紅葉が見られますが、何しろ人が多いです。
でも化野念仏寺まで来ると結構人も少なく、紅葉の穴場になっています。
でも最近では、化野のほうも観光客が増えてきています。
どうしてもゆっくりと素晴らしい紅葉を堪能したいなら、化野よりもっと奥へ行ってみましょう。
その奥には、もう一つの念仏寺があるんです。
化野念仏寺から600メートルほど進んだところ、「愛宕寺前」というバス停があります。
そこにあるのが愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)です。
こちらの念仏寺にも約1200体の石仏が行儀よく並んでいらっしゃいます。
もちろん紅葉も素敵です。
居酒屋のはしごもいいですが、念仏寺のはしごも乙なもんですよ。
終わりに
今回は、化野念仏寺を紹介しました。
心が疲れた時は、夏の千灯供養、秋の古道街道灯しで優しい灯りに癒されてくださいね。
元気な時でもOK!
2020年5月下旬、コロナウイルス感染予防のための緊急事態宣言は、近畿一帯においては解除されました。
それに伴い参拝中止を余儀なくされていた京都の寺社仏閣も順次参拝再開しています。
ですが、コロナウイルスが終息したわけではありません。
感染予防の対策をしたうえで、三密をさけて観光をしてくださいね。
今回紹介した行事も無事行われるかどうかはまだわかりません。
詳細は公式サイトでお確かめくださいね。
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