京の東の玄関口粟田口に位置し、旅立ち安全祈願や厄除けなどのご利益が知られている粟田神社には、数年前から「刀剣乱舞」の聖地巡礼の地として訪れる女性が増えています。
境内にある鍛治神社がそのお目当てだとか。
私はあまり詳しくなかったのですが、調べてみると結構面白い!
そこで今回は、粟田神社の由緒や見どころ、「刀剣乱舞」との関係などを紹介します。
ちょっと趣の変わった寺社巡りをしてみたいあなた、必見ですよ!
粟田神社の由緒とご利益
粟田神社は、876年(貞観18年)に清和天皇の勅旨により出羽守藤原興世が八坂神社を粟田口に勧請したのが始まりと言われています。
そのため粟田神社の主祭神は、八坂神社と同じ
建速素戔嗚尊(たけはやすさのおのみこと)
大己貴命(おおなむちのみこと)
そして粟田口は、京の七口(出入口)の一つということもあり、京都を行き来する人々が参拝し、旅の安全を祈願してきました。
いつしか、旅の安全を守護する神様として崇敬されるようになりました。
都から東や北へ旅する人は、粟田神社で道中の安全を祈願するのが習慣となり、古くは源義経が奥州へ下るとき、時代が下り幕末には皇女和宮が徳川へ嫁ぐために東下されるときも立ち寄られたと伝わっています。
粟田神社は厄除け・病気平癒などのご利益もありますので、旅行に行く行かないに関わらず、参拝されている方も多いです。
ですがここ数年は、若い女性たちの姿が目立ってきていました。
オンラインゲームの類とはほとんど縁のない私は
「なんでやろう」
と首をひねっていましたが、いまさらながら納得。
私でも知っている「刀剣乱舞」に関係していたのですね。
粟田神社の摂社・末社
粟田神社の境内には以下の摂社と末社があります。
ちなみに摂社とは本社の御祭神とゆかりのある神様を祀っている社のことで、末社とは、また別の神様を祀っている社のことを言います。
〈摂社〉
北向稲荷神社
出世恵比寿神社
聖天社
〈末社〉
大神宮
鍛治神社
多賀社・朝日天満宮
吉兵衛神社
太郎兵衛神社
この中で注目なのが、鍛治神社です。
鍛治神社は、粟田口の名刀匠、三条小鍛冶宗近と粟田口藤四郎吉光が製鉄・鍛治の祖である天目一箇神(あめのまひとつのかみ)とともに祀られている神社です。
粟田口周辺は、平安時代から室町時代にかけて刀鍛冶が多く住み、三条派や粟田口派と呼ばれ、多くの刀工を輩出した土地でした。
中でも三条小鍛冶宗近は「一期一振」を、粟田口藤四郎吉光は「三日月宗近」という名刀を残した刀工でした。
「一期一振」「三日月宗近」はともに「刀剣乱舞」出てくる刀で、そのゆかりの鍛治神社が聖地として人気があるというわけなんですね。
御朱印もかっこいいです!
鍛治神社のご利益は、刀工をお祀りしているだけに、悪縁を切り良縁を結ぶというものです。
最近どうもツキのない人も、悪運との縁を断ち切るためにお参りしてはどうでしょう。
京都刀剣巡り御朱印
粟田神社の御朱印には、通常の御朱印以外に刀剣巡りの御朱印があります。
粟田神社・豊国神社・建勲神社・藤森神社の四社をめぐる刀剣巡りの御朱印は、毎年変わりますが、2021年はこんな感じでした。
小狐丸とは、粟田神社からほど近いところにある「合槌稲荷神社」の由緒にちなんだ刀です。
すると、満願(刀を仕上げる)の夜に童子が現れ、宗近に協力(合槌)し、見事な名刀を仕上げた宗近は、刀の表に”小鍛冶宗近”と裏に”小狐”と銘を打ち、「小狐丸」と名付けた。
御朱印にも小狐と刀が描かれています。
粟田神社最大のお祭り 粟田祭
粟田神社で一番大きなお祭りは、10月に行われる粟田祭です。
粟田祭の概要
粟田祭(粟田神社大祭)は、
- 体育の日前々日 出御祭(おいでまつり)
- 体育の日前日 夜渡り神事
- 体育の日の神幸祭(しんこうさい)・還幸祭(かんこうさい)
- 15日 例大祭
までの神事を総称したものです。
このお祭は1000年もの歴史があり、室町時代などに祇園祭ができなかった時には、粟田祭をその代わりの御霊会としたといわれています。
粟田祭りの中で、私のおすすめは夜渡り神事と神幸祭です。
迫力ある燈呂は必見!夜渡り神事
体育の日前日の夜に行われる夜渡り神事では、知恩院の黒門前にある「瓜生石」の周りを巡拝する「れいけん」という神事が執り行われます。
この由来から、「れいけん」は粟田神社の神様が降臨した「瓜生石」を敬い、感謝する神事だと考えられます。
粟田神社を出発した行列は、知恩院の黒門前の「瓜生石」まで行くと、「れいけん」の神事を行い、その後、黒門が開かれると知恩院の僧侶と粟田神社の神官がともに儀式を執り行います。
神仏習合の行事が厳かに進んだ後、行列は町内を練り歩いて粟田神社へ帰ります。
夜渡り神事に従う行列は、松明を先頭に剣鉾・大燈呂と続きます。
大燈呂(おおとうろ)とは、今から450年以上前の記録にも載っているほど歴史が古く東北地方のねぶた(ねぷた)の原型ともいわれていました。
長らく作られていなかったのですが、平成20年に資料に基づいて復興しました。
「粟田大燈呂」と呼ばれるこの風流燈呂は、恵比寿さまやヤマタノオロチ、牛頭天王など様々な形をしていて、とても楽しく見られます。
祇園祭山鉾の原型! 神幸祭
神幸祭は、ご神体が遷(うつ)されたお神輿が氏子町内を渡御する神事です。
先頭は剣鉾、祇園祭の鉾の原型ともいわれ、長さ6~7mの竿に剣と鈴が取り付けられています。
剣鉾を持って歩く「剣差し」という役の男性は、重さ約30キロの剣鉾を腰に付けた差し袋で支え、バランスを取りながら独特の歩行法で剣先をしならせ、鈴を鳴らしながら練り歩きます。
「すごい!」
見ているこちらがハラハラするような、なんとも勇ましいでも優雅に見える行列です。
剣鉾は、町内に18基ほどあり、いずれも精巧な細工が施されています
夜渡り神事の時に飾られますので、興味のある方はご覧になってくださいね
夜渡り神事にお目見えしていた大燈呂も行列に参加、昼間に見る大燈呂は夜とは違って鮮やかな色合いが美しいですよ。
とにかく可愛い手水鉢
インスタグラムやツイッターでも話題になっているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、粟田神社の手水鉢が可愛いのです。
カラフルなアヒルがいっぱい!
癒されること、間違いなしです!
ストレスにつかれたときは、アヒルさんに癒されに来てくださいね。
粟田神社 基本情報
境内自由 拝観料無料
社務所受付 9:00~17:00
アクセス
地下鉄東西線 蹴上駅下車 徒歩7分
市バス 5・46系統 神宮道下車 徒歩5分
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