仲町六絵さんの『からくさ図書館来客簿』シリーズは、小野篁が主人公のファンタジー物語です。
平安時代に生きた小野篁がなぜ図書館に?
優しくて不思議な世界の魅力をあなたに紹介します。
小野篁に興味のある方、ファンタジーミステリーが好きな方、京都の不思議に魅かれている方にもおすすめです。
『からくさ図書館来客簿』あらすじと魅力
現代の京都、北白川にある私立図書館「からくさ図書館」は、優し気でどこか憂いを含んだ館長さんと可憐な少女が働いている小さな図書館です。
そこは、ただの図書館ではありませんでした。
館長は、平安時代に活躍した小野篁。
少女は篁に縁のある皇女です。
彼らは、冥府の冥官として、現代に住んでいるのでした。
その目的は、生前に善行を積み、天道へ行く資格を持ちながら、現世に大きな心残りがあるために成仏できない魂”道なし”を導く役目を果たすためです。
道なしは迷った末、現世の誰かに取り付いてしまいます。
その誰かは、みんな奇妙な悩み事を持ち、不思議な縁でからくさ図書館のお客様になります。
28歳の青年の姿をした篁館長と清らかでかわいい少女「時子様」は、お客様の奇妙な悩み事と道なしの心残りを、不思議な力で解決していくのです。
一話完結のそれぞれが、哀しかったり、ほろ苦かったり、時には辛かったり。
でも善行を積んだ道なしばかりですので、全体的に優しい雰囲気があり、読んでいても心がしんどくなることはありません。
楽しくも切ない篁と「時子様」
篁が「時子様」と呼ぶ少女は、平安時代には篁の教え子であり、哀しい運命を背負ったままわずか18歳で生涯を終えた少女です。
そんな2人がなぜからくさ図書館にいるのか、なぜ高村は「時子様」と呼ぶのか、それは読んでいただくうちにわかりますので、ここでは省略します。
哀しい運命に翻弄された少女と篁ですが、二人の関係がとても面白いんです。
親バカとも思えるほどの篁の「時子様」への愛情と、それに対する「時子様」の容赦のない突っ込み。
それでいて仲睦まじい2人にとてもほっこりします。
歴史の勉強にもなる道なしたち
現世で迷う道なしたちには、名もなきものもいれば、歴史上に名が残るような人もいます。
この人ってこんなことをしていたんだとか、本当はどんな人だったんだろうと、興味が出て、道なしの生前を改めて調べたくなることもあります。
歴史上の人物や歴史の流れって、授業で習ったり暗記するより、こんな風に物語などで知る方が覚えやすいんですよね。
私の歴史好きも、大河ドラマや小説からはじまっています
歴史と不思議があちこちにある京都ならではの物語
京都の町は、この物語のような不思議な図書館があっても違和感がない雰囲気を持っています。
篁が冥府との行き来に使った井戸がいまだに残っていますし、物語の中にも今の京都にある場所が出てきます。
実際に言ったことのある場所へ篁たちが出かけていく場面を読んでいると、不思議なリアリティを感じることもあったり。
機会があれば、『からくさ図書館来客簿』シリーズに登場する京都のスポットを巡ってみようかとも思っているところです。
あなたも『からくさ図書館来客簿』の世界にいらっしゃいませんか?
『からくさ図書館来客簿』と共に読んでほしい本
『からくさ図書館来客簿』シリーズには、篁の上司として安倍晴明も登場します。
仲町六絵さんの本にはその安倍晴明が主人公として描かれている『おとなりの晴明さん』シリーズがあります。
逆に『おとなりの晴明さん』にもからくさ図書館が登場します。
ですので『おとなりの晴明さん』経由で『からくさ図書館来客簿』を知った方も少なくないと思います。
ちなみに『おとなりの晴明さん』には、『あやかしとおばんざい』の登場人物も出てきます。
この3シリーズを読んでいただければ、不思議な京都の世界を堪能できること間違いなしです。
私も現在進行形で、3シリーズを少しずつ読み進めています!
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