『活版印刷 三日月堂 星たちの栞』 言葉の温かさをじんわり感じる癒しの一冊

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『活版印刷 三日月堂』は、ほしおさなえさんの人気シリーズの小説です。

ほしおさなえさんの小説は、初めてだったのですが、心の奥にじ~んとしみこむような温かい本でした。

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『活版印刷 三日月堂 星たちの栞』あらすじ

川越のとある町のお話。

古びた活版印刷所「三日月堂」は、長い間営業をしていませんでしたが、店主の孫娘・弓子があるきっかけにより、営業の再開をします。

ひと文字ひと文字、活字を拾って、手作業で言葉を印刷する活版印刷と店主の弓子が、お店に訪れるお客さんの心を解きほぐしてゆきます。

この本は、4つのお話が少しずつ連なっている短編小説になっています。

それぞれのあらすじを、少しだけお話しします。

世界は森

川越運送店に勤めているハルさんは、息子・森太郎と二人暮らし。

1ヶ月後には、森太郎は、進学のために北海道へ行ってしまいます。

森太郎へのお祝いの品を考えていたハルさんでしたが、ひょんなことから「三日月堂」とそこに住む弓子と出会い、あることを思いつくのです…。

ハルさんと森太郎の、ちょっとした親子喧嘩。

親の心も知らず、あっさりと北海道へ行ってしまう森太郎。

子どもたちが巣立ったときの、うれしいような少し寂しいような親の心が自然と伝わってくる穏やかなで温かいお話でした。

八月のコースター

待ちのはずれにある珈琲店「桐一葉」の店主・岡部。

その店は、岡部の伯父が経営していたのだが、彼の死後、岡部が継いでいました。

しかし、伯父の店を営んでいることに違和感のようなものを感じている岡部。

店のつながりで知り合いだったハルさんと話すうちにその違和感の正体が見えてきます。

「それが…よくわからないんです。でも、なんとなく、この店が…まだ伯父のもののような気がして。僕は代理にすぎない。いつまでたっても…」

「八月のコースター」より

あくまで伯父の店だと思ってしまう岡部にハルさんはある提案をします。

その提案を実現するために「三日月堂」へやってきた岡部は…。

弓子の真摯で、丁寧で、かつこだわりの強い仕事への姿勢は、岡部自身も気づかない店への想いを形にしていきます。

大好きだった伯父の珈琲店を、自分の色を少しずつ混ぜながら、育ててゆく岡部を店の常連さんがしっかりと見ていてくれる…それがわかったときにはじ~んときてしまいました。

星たちの栞

突然の雨のせいで、偶然訪れた「桐一葉」という珈琲店に入った高校の国語教師・真帆。

文芸部の顧問もやっている真帆は、その店で見たコースターに魅かれます。

コースターをヒントに文芸部では、文化祭の出店内容を決めました。

「銀河鉄道の夜」をテーマにしたその内容を実現させるため、真帆たちは「三日月堂」へ。

教え子たちの悩みや、真帆自身の学生時代の出来事が、「銀河鉄道の夜」と重なってゆきます。

ひとつだけの活字

数か月後に結婚を控えている雪乃。

結婚式の招待状を依頼しようと「三日月堂」にやってきた雪乃は、大量に並んでいる活字に圧倒されました。

雪乃の祖母の実家が”活字屋”を営んでいたことから、弓子との話が盛り上がりますが…。

この話では、弓子の活字への思いやこだわりなども描かれるとともに、活版印刷に関するちょっとオタク的な話が興味深いです。

また、弓子の過去も少しずつ分かってきます。

お客さんとの関わりの中で、弓子自身も救われているのだと感じられました。

 

電子書籍がどんどん増えてきていますが、私は相変わらず紙の本派です。

本の匂い…インクの匂いが好きで、活字が好きで、本が好き。

日本語の美しさや活字の力を改めて感じた、素敵な小説でした。

 

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『活版印刷 三日月堂』シリーズ

『活版印刷 三日月堂』は、全6巻のシリーズです。

表紙がとても美しく、並べてみると絵画のようです。

心が凝り固まったとき、ちょっと疲れたときに、おすすめの『活版印刷 三日月堂』

ぜひ読んでみてください。



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