冬のしつこい寒さがやっと遠ざかり、ぽかぽかと暖かな3月中旬。
久しぶりに寺院めぐりへ行ってきました。
今回は、御寺泉涌寺と、そろそろ梅が見ごろを迎えたはずの雲龍院へ。
まずは御寺泉涌寺を参拝しましょう。
泉涌寺参拝
泉涌寺は、真言宗泉涌寺派の総本山です。
皇室との関わりが深く、皇室の菩提寺となっていることから「御寺」と称されます。
泉涌寺の由緒
泉涌寺は、弘法大師が草庵を結んだ地とも、藤原緒嗣が建立した法輪寺が始まりとも伝わっていますが、やがて仙遊寺と呼ばれます。
建保6年(1218年)に宇都宮信房が寄進したこの地に俊芿(しゅんじょう)律師が伽藍を造営した際、清水が湧きだしたことから泉涌寺と改められました。
泉涌寺への道のり
泉涌寺の最寄り駅は、JR奈良線・京阪本線の東福寺駅です。
駅からテクテク歩くこと約20~25分。
結構な坂を上った先にあるのが泉涌寺です。
道中は舗装されていますが、軽い山登りの感があります。
本当なら、このしんどさもお伝えすべきところなのですが、私はバイクを利用しました。
実家のお墓が泉涌寺塔頭寺院にありますので、実はお墓参りを兼ねての参拝なんです。
どちらがついでとはあえて言いませんが…「お父さん、ごめん!」
公共交通機関でお参りに来られる方は、歩きやすい服装・靴でご参拝ください。
もし足に自信がないなら、京都駅からタクシーを利用される方が無難です。
長くなりましたが、境内へと参りましょう。
泉涌寺境内へ
泉涌寺の大門を抜けると、広い参道の向こうに見えるのが仏殿です。
泉涌寺の参道は、珍しい下り参道で、大門から仏殿を見下ろすような形になります。
大門を抜けてすぐ左には、楊貴妃観音堂がありますが、まずは仏殿へ。
参道は下りの砂利道ですので、転ばないようにゆっくりと歩きましょう。
仏殿は、徳川幕府第4代将軍・徳川家綱によって再建された本堂です。
大屋根は、とても迫力がありますが、下から除くようにして見ると、軒の白と黒(?)のコントラストがとてもきれいです。
仏殿・大涅槃図
殿内には、縦16m・横8m日本最大の大涅槃図がお祀りされています。
大きすぎて、天井の半分くらいまでが覆われているくらいです。
国内最大級「大涅槃図」 泉涌寺仏殿に掲げる http://t.co/ZlC8145cI0 pic.twitter.com/LFSLf97uky
— 中外日報 (@chugainippoh) March 17, 2014
ちょうど修学旅行生さんたちが、僧侶の方から説明を受けておられたので、ちょっと盗み聞き。
涅槃図は、色彩がとても鮮やかで、中央のお釈迦様を囲んで、弟子たちや民衆らしき人たち、下の方には動物たちが描かれていました。
動物までもがお釈迦様の入滅を悲しんでいるという姿だということです。
特別拝観・御座所
仏殿を後にして、奥に行くとお釈迦様の歯(仏牙舎利)を奉安する舎利殿が建っています。
御朱印をいただくために、その奥の本坊へ。
本坊へ行くと、御座所の特別拝観が行われていました。
せっかくなので、拝観させていただくことにします。
御座所とは、皇室の方々がご参拝される際にご休息されるための場所のことです。
静かな屋内をゆっくりと進むと、「侍従の間」「勅使の間」が続いています。
室内は、それぞれ趣のある襖絵が描かれ、まさに風雅な世界です。
そして「玉座の間」へ。
時代劇か雛かざりでしか見たことのない、1段2段と高くなった高台の玉座。
昭和天皇や今上天皇もこの玉座の間でご休憩を取られたそうで、そう思うと背筋がピンと伸びる心持になります。
玉座の間から見える庭園は、白砂と苔・緑の調和が美しく、そわそわしていた気持ちが落ち着くようでした。
遠く平安の昔から、歴代の天皇や皇室の方々の生活の一端を垣間見たような、ぜいたく気分です。
なぜか写真を撮るのを忘れていましたので、他の方の感想と共に素敵な景色をご覧ください!
泉涌寺 御座所庭園
天皇陛下がお越しになられた際に御休息所となるのが御座所、その中の玉座の間の前から見える景色が4枚目の写真です。今年も美しく鮮やかな御庭を見ることができました🍁 #京都 #東山 #紅葉 pic.twitter.com/461S0N9GNq— ℛ (@_remilion) November 12, 2019
楊貴妃観音堂
御朱印をいただいた後は、参道を戻り楊貴妃観音堂へ。
堂内には、十六羅漢像の中央に楊貴妃観音像がお祀りされています。
楊貴妃観音像は、本当は聖観音で、寛喜2年(1230年)南宋から請来した木像です。
その美しさから、玄宗皇帝が、楊貴妃の面影を写させた像であるという伝承が生まれ、江戸時代初期の頃に「楊貴妃観音」と呼ばれるようになったそうです。
今では美人祈願の観音様として親しまれています。
おばちゃんではありますが、一応女性なので、楊貴妃観音様にしっかりとお参りをして、泉涌寺を後にしました。
雲龍院へ
楊貴妃観音堂を出ると、ちょうど向かい側に砂利の参道が見えます。
両側に樹々が迫るちょっと薄暗い道ですが、そこを上ること約3分。
雲龍院が見えてきます。
雲龍院の由緒
雲龍院は、真言宗泉涌寺派別格本山です。
応安5年(1372年)に後光厳天皇の命により、竹巌聖皐(ちくがんしょうこう)が開基となって建立しました。
その後、後光厳天皇の皇子・後円融院が、写経場として龍華殿を建立しています。
現在の本堂は、その龍華殿です。
では、雲龍院へ参りましょう。
雲龍院山門
雲龍院の三門から見る風景は、梅・河津桜の見ごろと紅葉の頃が特に美しく、実はこれが今回一番の目的だったのですが…、残念ながら、少し早かったようでした。
白梅はきれいに咲いていたのですが、河津桜はまだ2分咲きくらい。
毎度のことですが、花の見ごろを見極めるのは、難しいですね。
でも雲龍院の見どころはまだまだありますので、ご心配なく。
蓮華の間
拝観入り口の正面では、立派な龍の絵が迎えてくれます。
入り口から右へ入ったすぐのところにあるのが蓮華の間です。
4枚の雪見障子が4枚の色紙のような美しい景色を見せてくれることから、色紙の景色と呼ばれている趣のある風景がそこにありました。
色紙の景色が一番美しく見える場所に、座布団が置いてあります。
ちょっと遠慮して少し後ろから写真を撮っていたら、知らないおじさまが、「座布団に座った方がきれいに撮れるよ」と。
おろおろしながらスマホを操作していると「もうちょっとアップにした方がいいよ」とアドバイスをくださいます。
確かに…でも絶対に写真撮影の上手な人の前で撮るのは、緊張する~!
それなりの写真が撮れたところで、おじさまにお礼を言って次の間へ。
大輪の間
次の部屋は、目の前に美しい庭園が広がった大輪の間です。
わかりにくいですが、庭園の真ん中あたりに、1本だけ紅梅がきれいに咲いていました。
室内にも立派な生け花があります。
その白梅からは柔らかくて甘い香りが…するような気が(二重マスクなので気分だけかも)
霊明殿から龍華殿へ
大輪の間から霊明殿の方へ歩いていると、白砂に菊の御紋が描かれていました。
その中央にある石灯籠は、徳川慶喜が寄進したものです。
龍華殿では、数人の方が写経をされていましたので、一層静かに歩いてご本尊を拝し、ソロ~っと出ました。
水琴窟の音色
再び拝観入り口まで戻り、今度は反対側へ。
庭園の入り口付近には水琴窟『龍淵のさやけし』と書かれた立札があります。
説明通りに、竹筒に耳を近づけてみると…。
清らかで、静かな音色が聞こえてきました。
心が洗われていくような、美しい音です。
悟りの間
色紙の景色とともに、雲龍院で人気のスポットとなっている悟りの間。
丸窓の向こうに見える景色は、なんとも言えない風情がありました。
ただ、やはり紅梅の見ごろには早かった、残念です。
走り大黒天
最後に忘れてはいけないのが「走り大黒天」様です。
福々しい笑顔をされた大黒様ではなく、こちらの大黒様は、ちょっと怖いお顔に見えます。
大きな袋を抱えて、今にも走り出しそうな大黒様は、実は、みんなのもとに幸せをもっていこうとしているありがたい神様なんです。
>RTs
泉涌寺塔頭雲龍院の「走り大黒天」をはじめ、サンタクロースのように“福を急いで届ける”といった姿の大黒天像は何体かある。https://t.co/TfOTsQqB7P pic.twitter.com/edLiwKum7B— 畑中章宏@『廃仏毀釈』『医療民俗学序説』 (@akirevolution) December 24, 2017
これからも商売繁盛、子供や孫の健康、ついでに私の健康もお願いしました。
本当は、神様や仏様にお願いをするものではないのですが、お顔を見ているとついつい。
次は、紅葉の季節に行くぞ!と決心し、バイクにまたがって帰りました。
泉涌寺・雲龍院の基本情報
今回参拝しました泉涌寺と雲龍院の基本情報とアクセスはこちら
泉涌寺の基本情報
拝観時間
通常期 9:00~17:00
冬期 9:00~16:30
拝観料
大人 500円(高校生以上)子供 300円(中学生以上)
特別拝観 中学生以上 300円
泉涌寺公式サイト https://mitera.org/
雲龍院の基本情報
拝観料 400円
雲龍院公式サイト https://www.unryuin.jp/
アクセス
JR奈良線・京阪本線 東福寺駅
市バス 泉涌寺道
バス・鉄道乗り換え案内 http://www.arukumachikyoto.jp/
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