『花咲家の人々』は、村山早紀さんが書かれている風早街に住んでいる花咲家の人たちにまつわるお話が詰まった一冊です。
村山さんは、風早街の物語を20年以上も書かれているのですが、私はこの本が「初めまして」でした。
今日は、心が温まる優しいお話がたっぷりの『花咲家の人々』を紹介します。
『花咲家の人々』あらすじと感想
~裏表紙より~
風早の街で千円から続く老舗の花屋「千草苑(せんそうえん)」。経営者一族の花咲家は、先祖代々植物と会話できる魔法のような力を持っている。…
花咲家は、植物園で働いている父・草太郎さん、長女で千草苑と併設するカフェ千草の実質的な経営者の茉莉亜(まりあ)さん、高校生の次女りら子、長男で末っ子の桂(けい)くん、そして、植物の治療もできて、最も不思議な力が強い祖父の木太郎さんの5人家族です。
お話ごとに花咲家のだれかの視点で書かれていて、彼ら・彼女たちの秘めた思いが紐解かれながらエンディングに向かっていきます。
目次
- 黄昏時に花束を
- 夏の怪盗
- 草のたてがみ
- 拾年目のクリスマスローズ
どのお話にも共通しているのが、花咲家の人々の植物への愛情、思いやりです。
母親・優音(ゆの)さんは、10年前に病気で亡くなっていますが、それぞれの章で、家族一人ひとりの優音さんへの思いが描かれています。
花咲家とかかわる人々もみんな温かくて素敵な人たちばっかり。
私の感想は…
この本は、敬語で書かれていて、正直読み始めてしばらくは、状況説明が長くて読むのがしんどくなっていました。
でも、一つ目のエピソードの中ほどから、どんどんと風早街の世界に引き込まれ、あっという間に読み終わりました。
読みながら、心の中が温かく、でも切なくなってきて、最後のエピソードを読むころは、もう涙腺がゆるゆる状態。
静かに涙を流しながら読み終わった次第です。
家族愛はもちろん、植物たちの大きな愛が何より感動しました。
自己犠牲と自分たちを育んでくれた人間への愛を精一杯の力で表してくれる植物たち。
言葉はなくとも、彼らの優しい心は花咲家の人々に届き、そして風早の街の人々にも伝わっていくのです。
ただただ心が癒される素敵な本でした。
そして…、
花を育てるのが苦手で、すぐに枯らしてしまっていた自分を反省しています、今でも。
花咲家シリーズを紹介
花咲家の人たちが登場するシリーズは、『花咲家の人々』から
『花咲家の休日』
『花咲家の旅』
『花咲家の怪』
と続いています。
どれも花咲家の人たちが起こす不思議がもたらす温かいお話ですので、興味のある方、癒やしの欲しい方は、ぜひ読んでみてください。
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