今回紹介するのは、霜月りつさんの『本屋のワラシさま』です。
霜月りつさんは、時代小説から現代もの、ファンタジーミステリーなど様々な作品を書いておられる方で、私の好きな作家さんの1人です。
『本屋のワラシさま』は、霜月律さんの作品という以外に表紙の可愛い絵につられて購入したのですが、読みだすと止まらなくなるほど楽しくて温かい物語がいっぱいでした。
町中の小さな本屋さんで起こる素敵なミステリー
きっとあなたも楽しい時間が過ごせるはずです。
『本屋のワラシさま』のあらすじ
本が大好きで書店員になったのに、あることがキッカケで本が読めなくなった啓。
書店員としての自信も無くしてしまった啓は、入院した伯父の代わりに小さな本屋さんの店長として働くことになります。
その初日、啓が見たのは店内にちょこんと座っているとてもリアルでかわいい日本人形。
「放っておくと拗ねて店を荒らすかもしれない」
そんな心配をする伯父さんを不思議に思っていた啓ですが…。
「おれはワラシ。この水谷書店の座敷ワラシぞ。大切にするがよい」
いきなり話し出した人形は、口も悪いが態度もでかい、とんでもない座敷ワラシだったのです。
東京の小さな商店街、でもとても温かい商店街の一角にある本屋さんで、啓はワラシさまに荒っぽい助言を受けながら、少しずつ本の楽しさを思い出していきます。
物語は基本的には1話完結ですが、全体を通して啓とワラシさま、2人（？）を取り巻く商店街の人たちの物語となっています。
- だるまちゃんはころばない
- 注文の多い取り置き本
- ローダンを待ちながら
- 立ち読み殺人事件
- ロング・グッドバイとは言わないで
どこかで聞いたことのある章名にも、もちろん意味があります。
いろいろな出会いと不思議、そしてハートウォーミングなドラマがいっぱいの素敵な本屋物語です。
ストーリーに登場する本が読みたくなる！
物語のもう1つの魅力が、作品内に登場する本たち。
詠んだことのある本が出てくるとうれしくなり、まだ読んでいない本ならすぐにでも読みたくなってしまいます。
例えば…。
- 『旅猫レポート』有川浩
- 『ぐりとぐら』 中川李枝子・山脇百合子
- 『白い犬とワルツを』 テリー・ケイ
- 『アンの想い出の日々』 モンゴメリ
- 『東京バンドワゴン』 小路幸也
- 『検察側の証人』 アガサ・クリスティー
- 『智恵子抄』 高村光太郎（高村光太郎詩集）
- 『超辛口先生の赤ペン俳句教室』 夏井いつき 敬称略・順不同
どんなふうにストーリーと絡むのかは読んでからのお楽しみです！
本を読む喜びを思い出し始めた啓と、本屋にだけ住むワラシさまのこれからは？
実際の書店員さんの心にも響いた素敵な物語をぜひあなたも読んでみてください。
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