8月の京都といえば、なんといっても五山の送り火が有名です。
五山の送り火は、盂蘭盆会でそれぞれの家に帰ってこられたご先祖の御霊をお送りする行事ですが、今回紹介する行事の一つは、ご先祖様の御霊をお迎えする行事です。
普段は、おそらくほとんど考えることのない自分たちのご先祖様も、お盆の時期は身近に感じられるものです。
せっかくですから、ご先祖から続いてきた自分というものを振り返る機会にしてはいかがでしょう。
下鴨神社 夏越神事
まず始めは、立秋の前日に行われる下鴨神社の行事を紹介します。
夏越神事は、1年の厄を払って、無病息災を祈る神事で、2023年は8月7日に行われます。
夏越神事の由来
この神事は、下鴨神社の御祭神である玉依媛命(たまよりひめのみこと)が川遊びをされていると、一本の矢が流れ着き、その矢を持ち帰ったところ懐妊して、賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)を出産されたという故事にちなんでいます。
そのため、矢取神事とも呼ばれる行事です。
見逃し厳禁!夏越神事のハイライト
神事当日、境内の御手洗池中央には50本の斎串が円形に立てられます。
神事が始まる19時過ぎ、浸食に続いて50人ほどの「裸男」たちが、御手洗池の周りに並びます。
「裸男(はだかおとこ)」とは、厄年を迎えた男性で、その呼び名通りステテコ下帯姿です
清めの神事が終わり、神職が池の周りに並びます。
手には、奉納された人形(ひとがた)の入った箱を持っています。
神職たちが人形を御手洗池へまくのを合図に、「裸男」たちが一斉に池の中に飛び込み、斎串を奪い合います。
バシャバシャという激しい音が数十秒続いた後、斎串は「裸男」たちの手に渡り、神事は終わります。
おそらく写真を撮るチャンスなどほんの数秒くらいのわずかな時間で終わってしまいます。
下鴨神社の「矢取神事」
夏越神事ともいわれて、厄除けの人形(ヒトガタ)をばらまくと同時に氏子が池の中央にある矢を取り合って無病息災を願うというお祭り。一瞬だけど迫力が凄い。#pentax #ファインダー越しの私の世界 #キリトリセカイ #東京カメラ部 #写真好きな人と繋がりたい #京都 pic.twitter.com/vLcQy30jLI— Kaya Knnazki (@kayapentax) November 21, 2020
でも、一瞬の異様な盛り上がりとそのあとに静けさは、まだまだ続く夏の暑さの中でほんの少し見える秋のもの悲しさのようです。
とはいえ、夏真っ盛りの京都です。
夏越神事を見に行かれるなら、熱中症対策を十分したうえで、時間厳守ですよ(^_-)-☆
下鴨神社公式サイト http://www.shimogamo-jinja.or.jp/
夏越神事 日程とアクセス
日時 2023年8月7日(月) 18:30~
アクセス
京阪本線・叡山電鉄 「出町柳駅」下車 徒歩10分
市バス 1・4・205系統 「下鴨神社前」下車 徒歩3分
六道珍皇寺 六道まいり
京都では、盂蘭盆会の前8月7日~10日の間に精霊を迎えるために行う「六道まいり」という風習があります。
精霊をお迎えすることから「お精霊(しょらい)さん迎え」ともいい、ご先祖の精霊をお迎えするために人々が六道珍皇寺へ参詣します。
なぜ六道珍皇寺でご先祖をお迎えするの?
ご先祖の精霊をお迎えするならそれぞれの家でよいのでは?という疑問が浮かんでいる人のために少し説明します。
六道珍皇寺の付近は、東山の鳥辺野という昔の葬送の地に近く、現世とあの世との境界(出入口)である「六道の辻」と呼ばれていました。
平安初期の小野篁(おののたかむら)は、朝廷に使える身でありながら、冥途の閻魔大王にも仕えていたという伝説があり、その篁が冥途への入り口として使ったとされる「冥途通いの井戸」が六道珍皇寺境内にあります。
そのため、お盆にあの世から帰ってくる精霊は、必ずこの六道の辻を通るものだと信じられていました。
六道の辻にある六道珍皇寺でご先祖をお迎えするのは、こんな由来があるのです。
同じように葬送の地であった蓮台野の近く、今の千本今出川の千本釈迦堂と千本ゑんま堂でも精霊迎えや精霊送りの行事が行われています
六道まいりには順序がある
ご先祖をお迎えするための参詣には、一通りの順序があるんです。
一年ぶりに帰ってこられるご先祖のための準備みたいなものですね。
1.境内付近に売られている高野槇(こうやまき)を買います
お迎えしたご先祖の精霊が、その高野槇に乗り移って里帰りのひと時を送ります
2.本堂前で、水塔婆(みずとうば)に戒名や俗名を書いていただきます
3.迎え鐘を撞きます
4.水塔婆を線香の煙で浄めます
5.水塔婆を高野槇で水回向して納めます
これでご先祖の精霊をお迎えできます。
今、面倒だって思いました?
実は私も思いました。
現在でもきちんと六道まいりをされている方はいらっしゃいますが、正直私はとっても簡単に済ませていました。
「お帰り、久しぶりですね。どうぞくつろいでくださいね」
みたいな感じです。
でも、今や京都の夏の風物詩ともいえる六道まいり。
難しいことは考えず、とりあえずお参りだけでもしてみるのもありですよ。
六道珍皇寺公式サイト http://www.rokudou.jp/
六道まいり 日程とアクセス
日時 毎年8月7日~10日 6:00~22:00
アクセス
京阪本線 「清水五条駅」下車 徒歩15分
市バス 80・206・207系統 「清水道」下車 徒歩5分
花背の松上げ
花背は、京都市内から北へ、鞍馬のもっと奥にある山村です。
その花背で8月15日の夜に行われる行事が「松上げ」で、花背に伝わるお精霊の「送り火」です。
夏の夜空を照らす炎は、迫力満点。
一度は見ておきたい行事の一つです。
松上げとは?
松上げとは、巨大な松明に見立てた約20メートルの檜柱の上部に傘を反対にしたような受け籠がついたもの=花背の松上げでは灯籠木(とろぎ)といいます=に向かって「上げ松」という松明を投げ入れて、点火する行事です。
言葉でいうとややこしいですが、火のついた玉入れみたいなものをイメージしてもらえばわかりやすいかも。(火遊びはだめですよ)
15日に京都バス貸切で花背松上げを見に行きました。20m程の大木の先に大笠という籠みたいな物があり、そこに向けて上げ松という火のついた松明を振り回して放り上げます。最初はなかなか命中しませんでしたが、慣れて命中回数が増え、その度に拍手が起こります。最後に大笠の大木が倒れて終わりです。 pic.twitter.com/BjwGSVhJJ3
— ざしきわらこ (@8t7zrNIH0uEKZTG) August 17, 2022
もともと松上げという行事は、愛宕信仰に端を発したお祭りで、火難除けや家内安全などを祈願していました。
昔から若桜街道沿いの山間の村々で行われ、今でも花背以外に
- 広河原の松上げ(8月24日)
- 雲ケ畑の松上げ(8月24日)
- 久多の松上げ(8月23日)
- 小塩の松上げ(8月23日に近い土曜日)
などが行われています。
花背の松上げも以前は8月23日から24日の早朝にかけて行われていましたが、今は8月15日に変更され、それとともに送り火の意味も持つようになりました。
花背の松上げを見るなら時間に余裕をもって
松上げの行事が始まるのは、9時前ですが、バスが少ないので早めに行ったほうがいいでしょう。
出来ればまだ明るいうちに行って、お祭りの準備が見られたり、花背の自然を楽しんでみましょう。
持ち物に注意
松上げの会場は「京都花背リゾート山村都市交流の森」の隣ですので、トイレと自動販売機はありますが、売店・レストランなどはありませんので、食べ物は持参してください(ごみは必ず持ち帰ってください)
また、山里ですので街灯が少なく、夜になると真っ暗です。
普段経験していない暗さだと思いますので、特に足下が危ないです。
懐中電灯は必須ですよ。
もうひとつ、花背は山間ですので、真夏といえど夜は結構涼しいです。
薄物の上着を一枚持っていたほうがいいでしょう。
花背の松上げ 日程とアクセス
日時 8月15日 20:50ごろ~
アクセス
京阪本線「出町柳駅」より京都バスで「花背交流の森前」下車すぐ
松上げ当日は、京都バスが花背松上げ鑑賞バスを運行します。
事前予約制 参加費 大人2300円 小人1200円
お問い合わせ
京都バス運輸部営業課 075-871-7521(土・日・祝を除く9時~12時/13時~17時45分)
終わりに
今回は、8月のおすすめイベントを紹介しました。
京都の夏は、湿気が多くて気温も高く、とても過ごしやすいとは言えません。
楽しい行事も体調が悪くなっては元も子もありません。
京都の伝統ある行事を楽しむためにも外出するときは、しっかりと熱中症対策をしておいてくださいね。
コメント