なんやかやと仕事や雑用が絶えず、2か月以上かかってやっと「桜ほうさら」を読み終えました。宮部みゆきさんは、私と娘の好きな作家さんの一人で特に時代物に惹かれます。
「桜ほうさら」は以前NHKの正月時代劇で放映され、貫地谷しほりさんの切り髪姿が印象的でずっと原作が気になっていました。
先日放映された、同じく宮部みゆきさん原作の「荒神」もそうですが、映像は時間に限りがあるので話がはしょられて若干浅くなってしまいます(((^_^;)
「桜ほうさら」もそうだろうと早く原作を読みたいと思いながら今日になってしまいました。期待通り💐いいお話でした。
『桜ほうさら』のあらすじ
上総の国から江戸へやってきた古橋笙之介。深川の富勘長屋に住み、貸し本屋の治兵衛から写本の仕事を世話してもらいながら、藩の内紛に巻き込まれて身に覚えのない罪を背負わされ切腹した父の汚名をすすごうとしていました。
しかし、世間知らずの若侍にとってそれは簡単ことではなく無為に日が過ぎていました。そんな時、笙之介は桜の木の下にたたずむ「桜の精」🌸を見ます。
「朝の川風のなかで、そのひとはたった今、桜の木から舞い降りた。」
そのひととの出会いから、笙之介を囲む世間が少しずつ動き出します。
長屋の個性的な人たち、それとなく手助けをしてくれる貸し本屋の治兵衛さん。江戸での笙之介の庇護者、東谷。そして「桜の精」さん🌸
その誰もが辛い経験や切ない思いを抱えて生きています。でもその誰もがお互いを思いやり、明るく情深く生きています。
『桜ほうさら』の魅力
物語では笙之介とかかわる人たちのドラマを描きつつ、父を切腹に追いやった犯人が少しずつ明らかになります。
必ずしもすべてハッピーエンドではありませんが、その切なさや人間の愚かさも含め江戸の人々の情愛で包んでくれるような心温まるお話でした。
そして、桜の情景がとても素敵でした。
桜の散り初め:「今はまだ、それらのひとつひとつに桜の精が乗り込んで船団、花筏を組み、ヨイヤサアと小さな櫓を揃えて漕ぎ出した・・・」
なんて可愛くて素敵な表現をされるのでしょう。読んでいて絵が浮かぶようでした。
皆さんもどうぞ宮部みゆきさんの描く江戸にお邪魔してみてください、楽しいですよ。
またも(ミステリーだけに)ネタバレしないようにすごい大雑把なあらすじになってしまいましたが、どうぞご勘弁を
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