数年前に、「カラスの親指」を映画で見ました。
阿部寛さん主演で詐欺師役の話なので、面白いだろうなと思って見たのですが、予想外にとても面白くて、初めて道尾秀介さんを認知しました。
それまでは、なんとなく聞いたことがある作家さんという程度だったんですが、映画を見た後しばらくは、道尾作品にはまり、立て続けに何冊も読みました。
ですが、「カラスの親指」は、結果をはっきりと覚えているうちは読みたくなかったので、最近まで寝かせておきました。
キャストは、主演の阿部寛、能年玲奈さん、石原さとみさん、村上ショージさん、小柳友さんなど個性的な役者さんが、個性的な役を演じておられます。
場面のあちこちに、伏線がいっぱいで、最後まで見た後でもう1回始めから見て、回収されていった伏線を1つずつ確かめたくなります(これは、原作でも同じです)。
では、原作「カラスの親指」について
物語は、ちょっとさえない詐欺師コンビ武沢竹夫と入川鉄巳を軸として進みます。
武沢は、昔詐欺まがいの金貸しとの因縁があり、今もその影に密かに怯えています。
入川のほうは、妻がヤミ金にはめられて自殺したという過去があります。
その2人が、ひょんなことから少女2人と若者1人、子猫1匹との同居生活が始まります。奇妙ながら、その生活は意外に楽しく即席の家族のような雰囲気にそれぞれが心を開いてゆきますが、武沢の悲しい過去が追いかけて来て・・・。
哀しい出来事もおきますが、5人が協力して自分たちの情けない人生を賭けて、大逆転の計画を練り上げ、実行しますが、その結末は?
タイトルの意味も、興味深いんです。
もちろん、ここでは書きません。
読んでみてください。そして、気持ちよく騙されてください。
5人それぞれの温かい心に触れ、爽快なエンディングを味わって、
またすぐに読み直したくなる、そんな本です。
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